陸自 手りゅう弾死亡事故 身を隠す動作適切に行われずか 山梨

ことし5月、山梨県にある陸上自衛隊の演習場で、手りゅう弾を投げる訓練の最中に爆発して飛び散った破片が隊員に当たり死亡した事故で、陸上自衛隊は、手りゅう弾が投げられたあと、防護壁に身を隠す動作が適切に行われていなかったことが原因とする調査結果を公表しました。

ことし5月、山梨県にある陸上自衛隊の北富士演習場で、手りゅう弾を投げる訓練の最中に爆発して飛び散った破片が29歳の3等陸曹の首に当たり、死亡しました。

陸上自衛隊が18日公表した調査結果によりますと、訓練では、高さ1メートル10センチほどの防護壁の内側からおよそ20メートル離れた目標に向かって隊員が順番に手りゅう弾を投げていて、3等陸曹は隊員の後方で安全確認にあたっていたということです。

訓練の手順書では、手りゅう弾が投げられたあと現場にいる隊員は破片から身を守るために防護壁に体を密着させて頭を伏せるとされていますが、3等陸曹は防護壁から2メートル80センチ余り離れた場所で、頭を伏せずにしゃがんでいたところ、破片にあたったということです。

訓練には3等陸曹を含め24人が参加していましたが、部隊の指揮官は手順書に基づいた教育や指導を行っておらず、いずれの隊員も正しい手順を守っていなかったということです。

一方で、手順書の記述には分かりにくい部分があったとして写真や図などを加えて分かりやすくするとともに、部隊での安全教育を徹底させるなどして再発防止を図るとしています。

陸上自衛隊は、今回の事故で関係者の処分を検討するとともに警務隊が捜査を続けています。

陸上幕僚長「再発の防止に全力」

事故について、陸上自衛隊トップの森下泰臣陸上幕僚長は18日の会見で、「信頼を受けて武器の使用を許可されている組織として決してあってはならないことで、非常に重く受け止めている。国民の皆様の信頼を取り戻すべく、武器を扱う組織としての高い規律心の保持、部隊の健全性の確認、意識の改革を行い、より一層職務にまい進してまいりたい。大切な同僚を失う悲しみを二度と繰り返さないよう強く決意し、安全管理の徹底を図り再発の防止に全力を挙げることを誓う」と述べました。

また、今回の事故のほかにも、陸上自衛隊では去年、航空機事故などが起きていて、これについて「人為的なミスが入る余地がない制度や要領にし、全員が危機意識を持つという意識改革をしっかりとやっていく。装備の多様化、高度化が進むなかで、基本的な訓練がおろそかになっていないかしっかりと再度点検し、各部隊長などにも徹底したい」と話しました。