米共和党大会 副大統領候補のバンス氏 “米第一主義”強調

アメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の全国党大会で副大統領候補に選ばれたバンス上院議員が指名受諾の演説を行い、国内の製造業と労働者を守ることを優先する「アメリカ第一主義」をトランプ前大統領とともに強く推し進めていく考えを強調しました。

中西部ウィスコンシン州で開かれている共和党の全国党大会は17日、トランプ前大統領も会場入りして党の副大統領候補に選ばれた39歳の上院議員、J・D・バンス氏が演説しました。

バンス氏は、銃撃を受けてけがをしたトランプ氏について「彼がペンシルベニア州の野原で立ち上がったとき、アメリカ国民もともに立ち上がった」とたたえました。

そして「トランプ氏は国民に団結を求めた。私自身もその呼びかけに応えたい」と述べたうえで、指名を正式に受諾すると宣言しました。

バンス氏は、中西部オハイオ州の貧しい家庭が多い地域で育ったというみずからの経験を語るのに多くの時間を使うとともに、「わが国は安い中国製品であふれかえっている」と述べてバイデン政権を強く批判し、国内の製造業を保護することで労働者を守っていくと訴えました。

そしてオハイオ州と同じ製造業が盛んな地域で大統領選挙の勝敗を左右する激戦州でもあるウィスコンシン州やミシガン州、ペンシルベニア州の名を挙げ、「副大統領として決して忘れないと約束する」と語りかけました。

また、安全保障についても同盟国にただ乗りはさせないとして、世界の平和を守るためにさらなる負担を求めるなど、トランプ氏が掲げる「アメリカ第一主義」をともに強く推し進めていく考えを強調しました。

共和党大会は、4日目の18日に最終日を迎え、トランプ氏が指名受諾演説を行う予定です。

バンス氏は中西部オハイオ州出身の39歳。2年前の中間選挙で上院議員に初当選しました。オハイオ州で育った自身の経験をもとに、製造業が衰退した地域に暮らす白人労働者層の日常を描いた回顧録を8年前に出版し、ベストセラー作家となった、異色の経歴の持ち主です。

バンス氏は「アメリカ第一主義」のもと、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援の継続に反対していて、演説の内容に関心が集まっています。

ロシア ラブロフ外相 バンス氏の副大統領候補「歓迎しかない」

アメリカで野党・共和党の全国党大会が開かれる中、ニューヨークの国連本部を訪れているロシアのラブロフ外相が17日、記者団の質問に答えました。

この中でラブロフ外相は、まず共和党の大統領候補に正式に指名されたトランプ前大統領について「トランプ政権のもとでは、ロシアに対して多くの制裁が科された」と指摘する一方、「当時は、アメリカとの間で最高レベルでの対話が行われていた。いまはそのような対話はない」と述べました。

さらに、アメリカのウクライナへの支援の継続に反対しているバンス上院議員が共和党の副大統領候補に正式に指名されたことについて「彼は平和に賛成し、ウクライナへの支援を終わらせることを選択している。それはわれわれが求めていることで、歓迎しかない」と述べました。

その上で「アメリカの国民が選び、公平で互いを尊重する対話を望む指導者であれば、われわれは誰とでも協力する用意がある」とも述べました。