広島・長崎の知事など 被爆80年記念事業への助成 厚労省に要望

原爆が投下された広島と長崎の知事や市長などで作る協議会が、厚生労働省を訪れ、被爆者に寄り添った援護や若い世代への啓発を進めていく必要があるとして、被爆80年の節目に行う記念事業への助成などを要望しました。

広島と長崎の知事や市長、それに議長で作る八者協議会=「広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会」は、17日、厚生労働省を訪れて、原爆が投下されてから80年となる来年度に向けた要望書を健康・生活衛生局の担当者に手渡しました。

要望では、広島と長崎の原爆の日に開かれる式典を含めた被爆80年の記念事業への助成を行うことや、被爆後に海外に移り住んだ「在外被爆者」の医療費の申請手続きを簡素化するなどして、国内の被爆者と同様の援護を受けられるようにすること、さらに被爆建物や被爆樹木の保存事業への支援などを求めています。

また、原爆が投下された直後のいわゆる「黒い雨」をめぐり、被爆者援護の対象区域を再検討している国の検討会で早急に結論を出すほか、被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」も、これまでの基準を見直し、被爆者として認定するよう要請しています。

これに対して厚生労働省側は、非公開で行われた協議の中で、「80年の事業が円滑に実施できるよう調整し、被爆者に寄り添った援護を推進していきたい」などと回答したということです。

要望のあと、長崎県福祉保健部の新田惇一部長は「被爆者を取り巻く環境の変化に的確に対応し、実態に即した制度や審査、必要な予算の確保を引き続き求めていきたい」と話していました。