海自「特定秘密」問題 防衛相に保全体制改善を勧告 衆院審査会

海上自衛隊の複数の艦艇などで国の安全保障にかかわる「特定秘密」の情報の取り扱いをめぐる違反が相次いで確認されたことを受けて、衆議院の審査会は、木原防衛大臣に対し情報の保全体制の改善を勧告しました。

「特定秘密」をめぐり、防衛省は先週、海上自衛隊の艦艇38隻で船舶の動向に関する情報を資格のない隊員でも見ることができる状態にするなど防衛省・自衛隊で合わせて58件の違反が確認されたと発表しました。

これを受けて特定秘密保護法の運用を監視する衆議院の情報監視審査会は17日、額賀衆議院議長を通じて木原防衛大臣に情報の保全体制を改善するよう勧告しました。

勧告では、これまでの情報の保全教育は法律の趣旨が徹底されておらず不十分だとして外部の有識者の意見を踏まえ抜本的に見直すべきだとしています。

また、特定秘密を扱えるかどうかを調査する「適性評価」をクリアしていない隊員の「特定秘密」を扱う区画への立ち入りを制限する仕組みを導入することも求めています。

審査会の会長を務める岩屋元防衛大臣は記者会見で「『特定秘密』の問題に限らずさまざまな事案が同時に発生し防衛省・自衛隊に対する信頼が大きく損なわれていることは甚だ残念かつ遺憾だ。勧告を真摯(しんし)に受け止め早急に改善の措置をとってほしい」と述べました。

木原防衛相「防衛省・自衛隊一丸で信頼回復に努めたい」

木原防衛大臣は正午すぎ防衛省で記者団に対し「勧告の内容については現段階では承知していないが、わが国の防衛を一義的に担う防衛省において、政策の立案や自衛隊の運用に必要となる秘密情報の管理・運用は、厳格に行っていかなければならないと思っている。一連の事案は、決してあってはならないものという認識を新たにしており、私自身が強いリーダーシップを発揮し、再発防止策を具体的に一つ一つ検討・徹底し、防衛省・自衛隊一丸となって信頼回復に努めていきたい」と述べました。

林官房長官「再発防止を速やかに徹底」

林官房長官は午前の記者会見で「防衛省で自衛隊の運用などに必要となる秘密情報を厳格に管理・運用することは大前提だ。一連の事案はあってはならず、今後、防衛大臣のリーダーシップのもと再発防止を速やかに徹底し、防衛省・自衛隊が一丸となって取り組むことが重要だ」と述べました。

国民 榛葉幹事長「うみを出し切ってほしい」

国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「言語道断だ。ただ、防衛省でさまざまな不祥事が起こっていることを理由に、わが国の安全保障の空白をつくってはならない。この不祥事は大きいので岸田総理大臣に責任が及ぶ話になるかもしれない。うみを出し切ってほしい」と述べました。