【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(7月13日)

イスラエル軍は13日、ガザ地区南部のハンユニスに激しい空爆を行い、ガザ地区の保健当局は、少なくとも71人が死亡したと発表しました。イスラエルのメディアは、イスラム組織ハマスの軍事部門であるカッサム旅団の司令官を標的にした空爆だったと伝えていますが、この人物が空爆に巻き込まれたのかどうかはわかっていません。

※中東情勢に関する日本時間7月13日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍が空爆 “少なくとも71人死亡” ガザ地区保健当局

イスラエル軍は13日午前、ガザ地区南部のハンユニスに激しい空爆を行い、ガザ地区の保健当局はこの空爆でこれまでに少なくとも71人が死亡し、289人がけがをしたと発表しました。

パレスチナのメディアは、空爆を受けたのは多くの住民が避難していた地域だと伝えていて、NHKガザ事務所のカメラマンが撮影した映像には、子どもを含む大勢のけが人が近くの病院に次々に運び込まれる様子が写っています。

この空爆についてイスラエルのメディアは、イスラム組織ハマスの軍事部門であるカッサム旅団のムハンマド・デイフ司令官の殺害をねらったものだったと伝えていますが、デイフ司令官が空爆に巻き込まれたのかどうかはわかっていません。

デイフ司令官は、イスラエルが去年10月のハマスによる奇襲攻撃の計画や実行に深く関わっていた人物だとして、重要な攻撃対象にしている1人です。

イスラエルとハマスの間では、カタールなどを仲介に停戦や人質の解放に向けた交渉が行われていますが、13日の空爆を受けてハマスの幹部はアラブ系メディアに対し「ハンユニスへの空爆はイスラエルに合意をまとめる意思がないことを示している」と強く反発していて、難航している交渉の行方が一段と危ぶまれています。

イスラエル首相 停戦後も戦闘再開など条件に追加 ハマス側反発

イスラエル軍は12日もガザ地区での攻撃を続けていて、パレスチナの地元メディアはガザ地区中部への空爆で幼い子どもを含む少なくとも3人が死亡したと伝えています。

こうしたなかカタールなどの仲介で行われている停戦や人質の解放に向けた交渉について、イスラエルのネタニヤフ首相は11日、譲れない条件として、一時的な停戦が実現してもハマス壊滅のために戦闘を再開できることや、ガザ地区とエジプトとの境界地帯をイスラエルが管理することなどを主張しました。

これに対してイスラエル軍のガザ地区からの完全な撤退を求めているハマスは12日に声明を出し「ネタニヤフ首相はこれまで含まれていなかった要求を加えようと試みていて、交渉を長引かせ、混乱させようとしている」と反発を強めています。

アメリカのニュースサイト、アクシオスは当局者の話として軍事的に弱い立場に置かれたハマスに対して、ネタニヤフ首相が要求を強めているなどと伝える一方で、「要求を強めすぎることで交渉が失敗に終わるリスクもある」との見方も伝えています。

アメリカのバイデン大統領は11日、「双方は大枠では一致している」と述べて期待を示しましたが、交渉が進展するかは予断を許さない状況です。

イスラエル首相は再び強硬姿勢 ハマス側は強く反発

イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続く中、ガザ地区北部ではイスラエル軍の地上部隊が激しい攻撃を行い、ハマス側は多くの住民が死亡したと非難しています。

停戦などをめぐる交渉についてイスラエルのネタニヤフ首相は再び強硬な姿勢を見せていて、ハマス側は強く反発しています。

イスラエル軍は、13日もガザ地区の各地で攻撃を行っていて、北部のガザ市では再び集結しているハマスの戦闘員を排除するとして、地上部隊が空軍の支援も受けて作戦を展開しています。

12日には、ガザ市を拠点とするハマスの部隊の幹部を殺害し、市内の国連の施設から無人機やロケット弾などの多数の武器を発見したと発表しました。

一方のハマス側は、イスラエル軍が市街地を爆撃したり住宅に火をつけたりして、高齢者や子どもを含む多くの住民が殺害されたと非難しています。

こうした中、カタールなどの仲介で停戦や人質の解放に向けた交渉も行われていますが、イスラエルのネタニヤフ首相が停戦後も戦闘を再開できることなどを譲れない条件としたことから、ハマス側は強く反発しています。

イスラエル国内でも、ネタニヤフ首相と連立政権を組む極右政党が交渉に強く反対しているのに対し、人質の家族などは「交渉を頓挫させ人質の命を危険にさらす」とネタニヤフ首相への非難を強めていて、交渉をめぐり分断が深まっています。