【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(7月11日)

イスラエル軍は10日、制圧したと主張していたガザ地区北部のガザ市の住民に対し、指定した退避路を使って退避するよう通告し、攻撃が激化すればさらなる犠牲の増加が懸念されます。

※中東情勢に関する日本時間7月11日の動きを随時更新してお伝えします。

UNRWA日本人職員 “ガザ地区の衛生環境と治安の悪化 深刻”

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長は6月末からガザ地区中部で支援活動にあたっていて、10日、オンラインで取材に応じました。

このなかで清田さんは、今週に入ってから南部ハンユニスの診療所が再開されるなど、一部で医療支援が進められているものの、戦闘の長期化によって多くの住民がテント生活を強いられるなど、深刻な人道状況に陥っていると指摘しました。

画像提供:清田明宏さん

清田さんは、「以前よりも町なかがゴミだらけになり、上下水道も機能していない。状況はさらに悪くなっている」として現地の衛生環境は悪化の一途をたどっていて、肝炎や下痢、それに呼吸器系の感染症になる住民が多いということです。

画像提供:清田明宏さん

また、現地では食料不足などから支援物資が略奪されるケースも相次ぐなど、治安の悪化も深刻で、南部ラファにあるUNRWAの倉庫ではおよそ3億円分の医薬品が略奪にあったということです。

そのうえで、「早く秩序を取り戻し、支援が再開できる状態になってほしい」と述べ、一刻も早い停戦が必要だと訴えていました。

UNRWA事務局長 “運営する学校の3分の2が攻撃を受けた”

イスラエル軍は10日、ガザ地区北部のガザ市でUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の本部をハマスが拠点として使っているとして、攻撃を行ったと発表しました。

イスラエル軍は、ガザ市を含むガザ地区北部の制圧を主張していましたが、軍事作戦を続けていて、SNSに「ガザ市は依然、危険な戦闘地帯だ」などと投稿して、住民に指定した退避路を使って退避するよう通告しました。攻撃が激化すれば、さらなる犠牲の増加が懸念されます。

UNRWAのラザリーニ事務局長は、戦闘が始まって以来、避難所にもなっている、UNRWAが運営する学校の3分の2が攻撃を受けたとしたうえで、「学校が死と苦しみの場となっている。国際人道法の明らかな無視を当たり前にしてはならない」などとSNSに投稿しました。

地元の保健当局は、これまでに3万8295人が死亡したと発表し、犠牲者が増え続けています。

イスラエル政府 “米高官と人質解放交渉の課題を協議”

イスラエル政府は、ガラント国防相が、アメリカ・ホワイトハウスで中東地域を担当するマクガーク調整官と人質解放に向けた交渉をめぐり残された課題などについて協議したと明らかにしました。

停戦と人質解放に向けた交渉をめぐっては、イスラエルの情報機関のトップとアメリカのCIA=中央情報局の長官などによる協議がカタールで行われるとも伝えられていて、進展がみられるかどうか注目されます。