九州北部の記録的大雨から1年 各地で犠牲者を追悼

福岡、佐賀、大分の3県であわせて9人が死亡するなど、大きな被害が出た記録的な大雨から10日で1年です。福岡県久留米市の小学校では全校児童が黙とうし、佐賀県唐津市では慰霊祭が開かれました。

去年7月の記録的な大雨で、久留米市田主丸町の竹野地区では、土石流が発生して複数の住宅が巻き込まれ、男性1人が亡くなったほか、近くを流れる川の水があふれ、広い範囲にわたって住宅や農地が水につかる大きな被害を受けました。

10日朝、この地区にある竹野小学校では、全校児童100人余りが、それぞれの教室で黙とうして亡くなった男性を追悼しました。

このあと、安藤俊貴校長が各教室とオンラインで結んで「どんな時でも自分の身を守ることを優先し、自分で考え、判断し、自分や他人のために行動してほしい」と呼びかけました。

6年生の石井悠梨さんは「去年の大雨では、すごい量の雨が降って、家の近くの川も土砂でいっぱいになり、とても怖かった。大雨が降った時には、危険なところに注意して避難したいと思う」と話していました。

被災男性“地盤がずれないよう 国や県は対策を”

竹野地区に住む中野智勝さん(71)は、1年前の大雨で自宅の敷地に大量の土砂が流れ込み、倉庫など3つの建物が全壊したほか、自宅には、流されてきた岩や車がぶつかって壁が壊れるなどしました。

2か月ほど自宅を離れて県営住宅などで避難生活を送ったあと、自宅の修理を終え、家族3人で生活しています。

中野さんは当時、山の状態が心配になって自宅の1階のリビングから見ていたということで、「山が動いて地肌が見えました。そのままざっと山ごと動いてきたように感じました。妻に2階に上がれといって、1分もかからないうちに第1陣の土砂が来ていました」と振り返り、「見える範囲はみんなぐちゃぐちゃで車も流されていました。驚くだけで何も考えられませんでした」と話しました。

家の周囲には、土石流の備えとして最初に来る流木などを受け止めようと、鉄骨を立てました。

「今も梅雨真っ盛りで、被害が出なければいいと思います。山の地形は気になって雨上がりに写真を撮りますが、巨大な石が出てきたり、木が倒れたりと変わっているのが分かるとぞっとします。何年かけてもいいから地盤がずれないように、山が動かないように50年先、100年先も生きられる場所になるよう国や県は対策をしてほしい」

佐賀 唐津で慰霊祭 120人が参列

土石流で住民3人が亡くなった佐賀県唐津市で慰霊祭が開かれ、遺族や住民が亡くなった人を悼みました。

唐津市浜玉町の今坂地区では去年7月10日の記録的な大雨により土石流が発生し、住宅2棟が押し流されて3人が亡くなりました。

それから1年となる10日、地区主催の慰霊祭が開かれ、遺族や地区の住民およそ120人が参列しました。

はじめに筒井高宏区長が「亡くなった3人のご冥福をお祈りします。災害の記憶を風化させることなく、後世に正しく伝えられるよう慰霊祭を行いました。二度と同じ悲劇が起きないよう防災を学ぶ取り組みを続けていきます」とあいさつしました。

このあと、参列者が黙とうして祈りを捧げました。

母の安子さんを亡くした田中輝幸さんは「残念ながら家族と住まいを失ったが、皆さんに哀悼の意を表してもらい故人にも伝わったと思います」と話していました。

土石流の発生のあと今坂地区では、住民たちが防災のためにとるべき行動を一覧表にまとめるなど、被害を教訓としていかす活動が進められています。