【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7月10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7月10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

NATO首脳会議 本格的協議へ ウクライナ支援強化で合意の見通し

NATO=北大西洋条約機構首脳の会議は、9日から11日にかけてワシントンで開かれていて、10日から協議が本格的に行われます。

ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援が主な議題で、NATOのストルテンベルグ事務総長は、軍事支援でNATOの役割を強化し、各国の兵器の供与やウクライナ軍兵士の訓練の調整を行うことや、ロシアによる侵攻開始後NATO加盟国が行ってきた年間およそ400億ユーロ、日本円で6兆9000億円を超える規模の軍事支援を来年も維持することで合意する見通しを示しています。

ストルテンベルグ事務総長は、ことしの春にかけて各国の軍事支援が遅れたことでウクライナが厳しい状況に直面したとして、今回の首脳会議で合意すれば、支援が再び遅れるリスクを最小限に抑えられると強調しています。

首脳会議にはウクライナのゼレンスキー大統領の出席が予定されているほか、去年、リトアニアで開かれた首脳会議に続き、今回も日本を含むインド太平洋の4か国が出席し、サイバーや防衛産業の生産力などの分野で連携強化について話し合います。

NATO事務総長 ウクライナ侵攻続く中 加盟国結束の重要性訴え

創設75年の節目を迎えたNATOの首脳会議は、9日からワシントンで開かれています。

現地では創設から75年の節目を迎えた記念の式典が行われ、会議が始まりました。

NATOのストルテンベルグ事務総長は演説で、「ロシアのウクライナに対する戦争は数世代にわたる最大の安全保障上の危機だ。最大のリスクは、ロシアがウクライナで勝利をおさめることだ。そのようなことは起こしてはならない」と述べて、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、加盟国の結束の重要性を訴えました。

NATO首脳会議 米バイデン大統領 ウクライナ支援継続の姿勢示す

NATOの首脳会議で、9日、開催国アメリカのバイデン大統領が式典で演説しました。

この中でバイデン大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が続いていることを踏まえ、「歴史の今この瞬間は私たちの力を結集することが求められている。独裁者たちが世界秩序を覆そうとしている」と述べて、加盟国の結束の重要性を強調しました。

そして、「ウクライナは私たちが全面的に団結して支援すれば、プーチンを止めることができる」と述べた上で、「パトリオット」など防空システム5基をドイツなどと供与すると明らかにし、ウクライナ支援を継続する姿勢を改めて示しました。

また首脳会議に先立ち、ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は、ウクライナ軍を訓練や装備面で支援するため、NATOの新たな司令部をドイツに設置するほか、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと、ウクライナ支援などで共同の取り組みを始めると明らかにしました。

バイデン大統領は、首脳会議に出席するゼレンスキー大統領と11日に首脳会談を行い、今後の支援について協議する予定です。バイデン大統領としては、自身の年齢に対する不安が広がる中、首脳会議を通じてウクライナ支援などの議論をリードし、国内外に指導力を示したいねらいもあるとみられます。

ゼレンスキー大統領 “トランプ氏返り咲きでも支援継続を”

ウクライナのゼレンスキー大統領はNATOの首脳会議に出席するためワシントンを訪れていて、9日、シンクタンクのイベントに参加しました。

この中でゼレンスキー大統領は、ことし秋の大統領選挙でトランプ氏が返り咲いた場合、アメリカによるウクライナ支援が停止することを懸念しているか質問され、「もしトランプ氏が選ばれたら、対ウクライナ政策が維持されることを望む。アメリカはウクライナにとって最大の戦略的なパートナーだ」と述べ、支援の継続を訴えました。

また、バイデン大統領が「パトリオット」など防空システム5基をドイツなどと供与すると明らかにしたことについては、謝意を示しながらも、「まだ十分ではない」と述べ、さらなる支援を求めました。

さらに、アメリカが自国が供与した武器でロシア領内への攻撃に制限を課していることについて、ゼレンスキー大統領は、ロシアの航空戦力による攻撃を受けているとして、航空機が駐機している基地を攻撃できるようにするため、制限の緩和を呼びかけました。

キーウ 小児病院攻撃 ロシアと国連人権監視団の主張が対立

ロシア軍が8日にウクライナ各地に行った大規模なミサイル攻撃では、これまでに40人以上が死亡し、なかでも首都キーウの小児病院では建物の一部が崩壊し、2人が死亡しました。

小児病院での被害について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は9日、「すべて情報工作にすぎない。ウクライナ軍の迎撃ミサイルが不適切に使われ、小児病院にあたったのは明らかだ」と述べ、ロシア軍の攻撃によるものではないと主張しました。

これに対し、現地で調査を行った国連のウクライナ人権監視団のベル団長は9日、「映像の分析と現場での評価によると、小児病院の被害は、迎撃兵器によるものではなく、ミサイルが直撃した可能性が高い」として、ロシア軍による攻撃だとの見方を示しました。

また、ウクライナ保安庁は現場で見つかった残骸から、攻撃にはロシア軍の空中発射型の巡航ミサイルKh101が使われたとしています。

この攻撃をめぐって、ウクライナ側は戦争犯罪だと非難を強めているほか、9日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合でも各国から民間施設を狙った攻撃で国際人道法違反だと、ロシアを批判する声が相次いでいます。

ロシアの大規模ミサイル攻撃 防空システム回避する新戦術か

ウクライナの警察当局は9日、ロシア軍が8日に各地に行った大規模なミサイル攻撃で、首都キーウの小児病院などに大きな被害が出て、これまでに42人が死亡し、190人がけがをしたと発表しました。

今回の攻撃について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシアのミサイルが50メートルほどの低空を飛行したと指摘されていることを受けて、ロシア軍がウクライナ軍の防空システムを回避する新たな戦術を使った可能性が高いと分析しています。

キーウ小児病院被害を受け国連安全保障理事会で緊急会合

ロシア軍がウクライナ各地に大規模なミサイル攻撃を行い、首都キーウの小児病院などに大きな被害が出たことを受けて、ロシアが議長を務めている国連安全保障理事会で、フランスなどの要請で緊急会合が開かれました。

はじめにキーウで大きな被害を受けた小児病院の医師がオンラインで当時の状況について報告し、「子どもも大人も悲鳴をあげ恐怖と痛みで泣き叫び、まるで地獄だった。今回の攻撃は医療を必要とする子どもたちに長期的で深刻な影響を及ぼすだろう」と述べました。

このあと欧米など各国からは、病院や学校などの民間施設への攻撃は国際人道法違反だとして強く非難する意見が相次ぎました。

このうちフランスのドリビエール国連大使は「ロシアは意図的に住宅地や医療施設を標的にしている。ロシアが責任を問われる新たな戦争犯罪だ」と指摘しました。

また、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、安保理議長国のロシアが原因で緊急会合が開かれたことに不快感を示した上で、「ロシアは白昼堂々と小児病院を攻撃し子どもたちを傷つけた。口にするだけで背筋も凍る」と非難しました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、ロシア軍は軍事施設のみを攻撃の標的にしていて、小児病院に落下したのはコントロールを失ったウクライナ軍の防空ミサイルだと反論しました。

ウクライナの検事総長 ICCに調査求める

ウクライナのコスティン検事総長は9日、自身のSNSでICC=国際刑事裁判所のカーン主任検察官とオンラインで話したことを明らかにした上で、今回のロシア軍の攻撃について「市民に対する戦争犯罪というだけでなく、人道に対する犯罪だ」としてICCに調査を求めたことを明らかにしました。

ウクライナの捜査当局が収集した資料や証拠はICCに送られるとしています。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は滞在先のアメリカのワシントンから動画でメッセージを発信し、「NATOサミットが始まる。より多くの防空システムの供与を働きかけていて、実現すると確信している。より多くの航空機の供与も働きかけている。F16戦闘機だ」と述べ、軍事支援を強化する方針が打ち出されることに期待を示しました。

ロシア国民的歌手 小児病院などへの攻撃を批判か

ロシアでは国民的歌手で、ヒット曲「百万本のバラ」を歌ったことで知られるアーラ・プガチョワさんが9日、自身のインスタグラムに、顔などに傷を負った子どもの写真を投稿しました。

プガチョワさんは写真とともに、「神は忍耐強いが、すべてのことには限度がある」というメッセージも投稿し、小児病院などへの攻撃を批判したものと受け止められています。

プーチン大統領とインドのモディ首相 首脳会談

ロシアのプーチン大統領は9日、ウクライナ侵攻後初めてロシアを訪問したインドのモディ首相とクレムリンで会談し、経済や防衛、教育などの幅広い分野で協力を強化していくことで一致しました。

ウクライナ情勢についても話し合われ、会談の冒頭、プーチン大統領は「ウクライナ危機を解決する方法を見いだそうとしていることに感謝している」と述べました。

これに対し、モディ首相は「罪のない子どもの命が失われていることに心を痛めている。平和が不可欠で戦場には解決策はない」と述べ、懸念を伝えましたが、ロシアに対する直接的な批判は避けました。

また、会談で両首脳は、ウクライナ情勢の平和的な解決は外交ルートを通じ、ロシアとウクライナ双方が参加した形で行われなければならないと強調しました。

プーチン大統領としては、ウクライナ侵攻をめぐって欧米との対立が激しくなる中、グローバル・サウスの代表格であるインドとの協力関係をアピールすることで、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議を前に欧米をけん制した形です。

ロシア軍に雇われたインド人 早期帰還で両国政府が合意

インドでは、仕事が見つからない貧しい若者などが高額な報酬で勧誘されたりだまされたりしてロシア軍に雇われるケースが相次いでいて、インド外務省によりますと、少なくとも35人から50人がウクライナとの前線に送られ、これまでに2人の死亡が確認されています。

この問題は9日にモスクワで行われたインドのモディ首相とロシアのプーチン大統領の首脳会談でも話し合われ、両政府は、ロシア軍に兵士などとして雇われ、帰国を希望するインド人全員を早期に帰還させることで合意しました。

会談後に会見したインドのクワトラ外務次官は「だまされてロシア軍に従軍しているインド人について、モディ首相からロシア側に強い懸念が伝えられた」と話し、インド側が強く働きかけたことを明らかにしました。

インドメディアは早ければ数週間以内に帰還が実現するという見通しを伝えていて、NHKの取材に応じたインド人兵士の母親は「一刻も早く帰ってきてほしい」と訴えていました。

ウクライナ侵攻が長期化するなか、ロシア軍は外国人を雇うことで不足した兵力を補っているとみられ、インドのほかネパールやキューバなどからもロシア軍として戦う外国人が確認されています。