ふるさと納税ポイント付与募集禁止 松本総務相 “理解求める”

ふるさと納税をめぐって、ポイントを付与する仲介サイトでの募集を禁止する総務省の決定に、サイトを運営する事業者の1つが反対していることについて、松本総務大臣は本来の目的にかなう制度にするためだとして理解を求めました。

ふるさと納税をめぐり、ポイントを付与する仲介サイトの間で競争が激しくなっていることを受けて、総務省が来年10月から仲介サイトを通じた寄付の募集を禁止することを決めたのに対し、サイトを運営する楽天グループは、撤回を求めてインターネット上で反対の署名活動を始めました。

これについて、松本総務大臣は2日の閣議の後の記者会見で「ポイントの原資まではコメントできないが、金の流れを見れば寄付額から仲介サイトに入り、そこからポイントの金も出ていると言ってもいい部分もあるのではないか。そうしたお金の流れは、やめていただきたいということで禁止させてもらった」と述べました。

その上で「関係する事業者とはこれまでも丁寧に話をし、システム改修に一定の期間がかかるということで、来年10月からとさせてもらった。ふるさと納税の本旨にかなった適正化を目指すことに理解いただけるよう引き続き丁寧に説明していきたい」と述べました。

専門家 “制度見直し 自治体によって受け止め異なる”

ふるさと納税の制度に詳しい、ニッセイ基礎研究所の高岡和佳子主任研究員は今回の制度の見直しについて、自治体によって受け止めは異なるという見方を示しています。

高岡主任研究員は、「自治体にしてみれば、手数料が低くても寄付が集まらない仲介サイトでは意味がなく、手数料が高くても知名度や画面の見やすさなどで寄付が集まりやすい仲介サイトを選ぶはずで、効果は不透明だ。結局は、新しい制度のもとで自治体がどのような仲介サイトを選ぶかしだいとなる」と話しています。

別の専門家「制度見直し 手数料を引き下げる効果」

ふるさと納税の制度に詳しい東京財団政策研究所の平田英明主席研究員は、今回の制度の見直しは自治体が仲介サイトの運営事業者に支払う手数料を引き下げる効果が期待できるとしています。

平田主席研究員は「寄付額の規模の大きな自治体は寄付額に占める手数料の割合が相対的に低くなり、反対に、規模の小さな自治体は手数料の負担が大きくなる構図となっている。制度の見直しによって自治体は手数料の低い仲介サイトを選ぶようになり、事業者の間でその競争が生まれることで、手数料を引き下げる効果が期待できる」と話しています。

そのうえで、「ふるさと納税はあくまでも寄付であり、住民税を原資とした仕組みなので、そこで過度な利益が出ることは望ましくない。ふるさと納税はおよそ1兆円の市場規模があり、そこから得られる手数料に事業者が集まる状態となっていて、是正が必要だと考えている」と話しています。