富士山 山梨県側で山開き 登山者数や通行時間などに規制も

富士山の山梨県側は1日、山開きを迎えました。ことしの夏山シーズンは登山者数や通行時間などの規制が行われていますが、5合目には午前中から多くの登山者が訪れています。

富士山の7合目の山小屋では受け入れの準備が進められていますが、午前中は強風などの影響で山頂へ向かう登山者の姿はあまり見られませんでした。

富士山の7合目、標高およそ2700メートルにある山小屋では、山開きに向けて6月21日以降、登山者が買い求める菓子などの軽食をそろえるなどしてきました。

7月1日午前中の7合目では強風などの影響で山頂へ向かう登山者の姿はあまり見られず、山小屋ではスタッフが登山者を待ちながら、土産物のつえに焼き印を押すなどの作業を進めていました。

山小屋のオーナーの中村修さんは「毎年山開きには、この日を待ち望んでいた登山者が来ますが、きょうのような天気の場合も多いです。山小屋としては、登山者が頑張って登山できるよう、受け入れ体制を整えていきたい」と話していました。

富士山の7合目周辺は1日朝け、視界が霧で遮られていましたが、昼ごろにはふもとの景色が見渡せるようになりました。

午後になると、6合目から7合目にかけての登山道は海外から訪れた登山者が風が強く吹きつける中、歩みを進めて眺めを楽しんでいました。

登山者たちは

富士山の5合目のゲートを通過する前だった静岡県から訪れた20代の女性は「登山規制については事前にインターネットで調べた。調べる中で頂上が混雑する様子を見たので、ことしは登山規制によってどうなるのかが気になる」と話していました。

アメリカから訪れた男性は5合目で「ゲートを通過するための事前予約はできるだけ早くした。富士山は世界中からたくさんの人が来て過度に混雑することがあるので規制については理解できる」と話していました。

また、イギリスから訪れた男性は「規制は理にかなっていると思う。毎年たくさんの人が富士山に登るので、1日当たり4000人というのはよい数だと思う」と話していました。

登山者数や登山道閉鎖など規制

富士山の山梨県側では、夜通しで山頂を目指すいわゆる「弾丸登山」などのマナー違反や山頂付近での混雑が問題となっています。

このため、山梨県は5合目の登山口にゲートを設け、夏山シーズンが始まる1日から、
▽一日の登山者数の上限を4000人にするほか、
▽1人2000円の通行料を徴収していて、
▽午後4時から翌日午前3時までの間は登山道を閉鎖する規制も行います。

5合目では、1日午前3時に山梨県の職員2人が予定どおりゲートを開け、ふもとと5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」の通行止めが解除された午前9時以降は、登山者を乗せたバスや車が5合目に次々と到着しました。

受付窓口では事前予約で発行されたQRコードの読み取りや2000円の通行料の支払いが行われ、登山者はゲートの通行に必要なリストバンドを受け取りました。

登山者は雨や風が吹きつける天候の中、ゲートを通過して頂上を目指していきました。

東京から訪れた60代の男性は「山小屋に宿泊する場合はゲート通過の事前予約が必要がないと確認してから来た。人数制限や通行料は安全のために当たり前のことだと思う。これからゆっくり山小屋に行くつもりだが、途中で下山するかもしれない」と話していました。

山梨県富士山保全・観光エコシステム推進グループの岩間勝宏推進監は「無事に登山者の受け付けが始まりほっとしている。初日ということで手探りの部分があるが、これまでの準備を生かして安全な登山を実現したい」と話していました。

強風などで7合目には登山者ほとんどなく

強風などの影響を受けて富士山の7合目では午前中、山頂を目指す登山者の姿はほとんどなく、5合目へ下山する登山者が多く見られました。

このうち、初めて登山に挑戦するというフランス人の30歳の男性は「きのうからふもとの神社をスタートして登ってきました。雨がひどく、少し疲れました」と話していました。

富士スバルライン通行止めで返金も

富士山のふもとから5合目までを結ぶ山梨県の有料道路「富士スバルライン」は、1日午前0時から午前9時までの間、通行止めになりました。

山梨県によりますと、登山の予約をして事前に通行料の2000円を支払っていた人のなかで、スバルラインの通行止めにより登山せずに引き返した人に対しては返金を行います。

5合目にある山梨県の総合管理センターで登山の受け付けをしなかったケースが対象になります。