【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月30日)

ガザ地区でイスラム組織ハマスへの攻勢を強めるイスラエル軍は、30日にかけても広い範囲で攻撃を続け、住民に多数の死傷者が出ているもようです。一方、パレスチナ赤新月社は、南部の臨時拠点が攻撃にさらされスタッフの命を守れないとして退避を決め、人道状況もいっそう深刻化しています。

※中東情勢に関する日本時間6月30日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエル軍 ガザ地区の広範囲で軍事作戦 ラファで6人死亡

イスラエル軍は30日、制圧したと主張していたガザ地区の北部に加え、中部や南部でも軍事作戦を続け、このうち南部ラファでは、情報に基づいて標的を絞った攻撃を行い、戦闘員を殺害したうえ、地下トンネルを破壊したなどと主張しました。

また、地元メディアは30日、ラファではイスラエル軍の空爆で子どもを含む6人が死亡したほか砲撃などの激しい攻撃が続いていて、ほかにも住民に死傷者が出ていると伝えています。

イスラエル軍が攻勢を強める中、パレスチナ赤新月社は29日、南部ハンユニスに設けていた臨時の拠点が攻撃を受け、スタッフの命が危険にさらされているとして退避したと発表し、現地の人道状況もいっそう深刻化しています。

一方、アメリカのニュースサイト「アクシオス」は、停戦と人質解放をめぐる交渉で、アメリカが提案に新たな文言を提示したと報じましたが、ハマスの幹部は29日会見で「交渉に新しいものは何もない」と述べ、交渉が停滞しているとの認識を示しました。

そのうえで、恒久的な停戦とイスラエル軍のガザ地区からの完全撤退を保証すれば、前向きに交渉に応じるとの立場を改めて強調しました。

イスラエル軍 ガザ地区北部攻撃で6万人退避 人道状況悪化

イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの攻撃の応酬が続き、緊張が高まる一方、イスラエル軍は、制圧したと主張していたガザ地区北部でも激しい攻撃を続け、国連は少なくとも6万人が退避を強いられたとみられるとしていて人道状況は日増しに悪化しています。

イスラエルと隣国レバノンを拠点とするヒズボラとの間ではこのところ攻撃の応酬が激しくなっています。

イスラエルのガラント国防相が28日、「戦争を望んではいないが、準備はできている」と発言した一方、ヒズボラを支援するイランの国連代表部がSNSに「イスラエルが本格的な攻撃に踏み切ればすべての抵抗勢力が参戦することも選択肢にある」と投稿するなど、互いにけん制しました。

イスラエル軍は29日も、レバノン側から攻撃がありイスラエル側もヒズボラの拠点を攻撃した、などと発表し緊張が高まっています。

一方、イスラエル軍はガザ地区南部のラファのほか、制圧したと主張していたガザ地区北部でも軍事作戦を続け、多数の戦闘員を殺害し、学校の敷地内で武器庫を発見したなどと主張しました。

地元のメディアはイスラエル軍によるガザ地区北部への攻撃で複数の住民が死傷したと伝えています。

国連は28日、イスラエル軍がガザ地区北部で住民に退避を命じ少なくとも6万人が退避を強いられたとみられると指摘していて、人道状況は日増しに悪化しています。

現地の保健当局はこれまでに3万7834人が死亡したと発表し、停戦と人質解放に向けた交渉が停滞する中、犠牲者は増え続けています。