香港 「国家安全維持法」施行から4年 言論への締めつけ強まる

香港で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されてから30日で4年となります。ことしは、この法律を補完する新たな条例も施行され、香港社会で、言論に対する締めつけは、さらに強まっています。

香港では4年前の2020年6月30日に「香港国家安全維持法」が施行され、中国政府を批判してきた民主派の政治家や活動家、それに新聞の創業者などが相次いで逮捕され、政府に対する抗議の声は厳しく抑え込まれています。

47人の元議員らがいっせいに逮捕、起訴された事件では、起訴から3年以上たった5月、14人に有罪判決が言い渡されました。

このほかの被告の裁判は続いていて、民主派の活動家らの身柄の拘束が長期化しています。

さらに、ことし3月には、国家安全維持法を補完する「国家安全条例」が新たに施行されました。

この条例では、スパイ行為や、外国勢力による干渉などを犯罪と規定したのに加えて、中国政府などへの憎悪をあおる行為に対する罰則が強化されました。

この条例に違反したとして6月には、5年前の2019年の抗議活動のときのスローガンが書かれたTシャツを着た男性が起訴されました。

香港の保安局はNHKの取材に対し、「国家安全維持法」と「国家安全条例」などに違反したとして逮捕された人は、4年前の2020年6月30日から2024年6月21日までに、299人に上るとしていて、香港社会で言論に対する締めつけはさらに強まっています。

有罪判決を受けた人の妻「覚悟を決めて対応していく」

梁国雄さん(68)は、5月の裁判で有罪判決を言い渡された14人のうちの1人で、「ロング・ヘアー」の愛称で知られた香港の議会、立法会の元議員です。

梁さんは、4年前の2020年に立法会の議員選挙にむけて行われた民主派の予備選挙に関連して、国家政権の転覆を図ったとして、ほかの被告とともに、香港国家安全維持法違反の罪で起訴され、3年以上、身柄を拘束されています。

NHKのインタビューに応じた梁さんの妻で、民主派団体の代表を務める陳宝瑩さん(68)は、夫たちが予備選挙で掲げた目標は、香港の憲法にあたる基本法で認められたものだと主張し、みずから街頭に立って、政府に説明を求めています。

しかし街頭では、警察官から警告を受けた上、ビデオカメラで撮影され、当局からの圧力を感じているということです。

陳さんは「いつレッドラインを越えて、逮捕されるのかわかりません。しかしどうすることもできません。覚悟を決めて、対応していくしかありません」と述べ、香港の現状について、言うべきことは主張し続けていくとしています。