夫婦別姓認めない民法規定は憲法違反 国を訴える裁判始まる

夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反するとして、東京などに住む10人が国に賠償を求めている裁判が始まり、原告は「夫婦で同じ名字を強制される苦しみについて人権問題として扱ってほしい」と訴えました。一方、国は争う姿勢を示しました。

東京や長野県などに住む事実婚のカップル4組と夫婦1組の合わせて10人は、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定について「婚姻の自由を保障した憲法に違反し、無効だ」などとして国に賠償を求める訴えを起こしています。

27日、東京地方裁判所で始まった裁判で、原告が意見陳述を行いました。

3人の子どもが生まれるたびに結婚と離婚を繰り返した内山由香里さんは「夫の名字で婚姻届を出したら運転免許証などの名義変更をせざるを得なくなり、私の名前は消されていった。名字を変えない側はこうした必要はないのに、理不尽だ」と訴えました。

パートナーと17年間事実婚をしている根津充さん(仮名)は「同じ名字を強制される苦しみについて人権問題や憲法問題として正面から取り扱ってほしい」と訴えました。

一方、国は「実質的に、夫婦別姓制度を求める訴えに等しいが、制度の創設は立法の問題であり、司法の場で判断するのは適さない」などとして訴えを退けるよう求めました。

原告「真正面から向き合ってほしい」

裁判の後、弁護士や原告たちが都内で会見を開きました。

原告の1人の黒川とう子さん(仮名)は、「どちらかが望まない改姓をすることで、これまで大事にしてきたパートナーとの協力関係や対等な関係が崩れるのがいやで事実婚を選択して17年になる。夫婦同姓を強制された人たちの思いに、真正面から向き合ってほしい」と話していました。

弁護団長をつとめる寺原真希子弁護士は、「戦後、今の名字の制度ができてから長い間、多くの人が苦しみながら、運動を続けてきた。日本以外の国では名字を変えないことと婚姻は両立できていて、二者択一を迫る制度に合理性はない」と話しました。