天皇陛下 世界的な金融街「シティ」代表ら主催の晩さん会に

国際親善のためイギリスを公式訪問している天皇陛下は、ロンドンにある世界的な金融街「シティ」の代表らが主催する歓迎の晩さん会に臨まれました。

天皇陛下は、現地時間の26日午後、ロンドン中心部にありチャールズ国王が総長を務める世界屈指の音楽大学を訪ねられました。

ここでは、日本を含む50か国以上の学生900人以上が演奏や作曲などを学んでいます。

天皇陛下は最先端の技術でコンサートホールなどの映像や音響を再現できる施設で、学生らの演奏を鑑賞されました。

宮内庁によりますと、天皇陛下は、1985年以来の訪問を大変懐かしく思うとともに、新しい技術を使った画期的な取り組みをしていることがよく理解できたと話されていたということです。

このあと、現地時間の午後8時すぎからは、ロンドンの金融街「シティ」にある市庁舎で、歓迎の晩さん会に臨まれ、チャールズ国王の弟のエドワード王子などおよそ650人が出席しました。

天皇陛下はおことばの中で、留学当初お金の扱いに慣れず、財布にたまったコインをいっぺんに落としてしまい慌てた際に、周りの人たちが手分けして拾ってくれた思い出を披露し「英国の人たちの優しさに触れすがすがしい気分になりました」などと話されました。

そして日英両国の人々が人とのつながりを大切にし、先人が築いてきたものを踏まえ自然や科学、文化・芸術などから発想を得ながら新たな技術も柔軟に取り入れさまざまな課題の解決に取り組んできたとしたうえで、「今回の私(わたくし)たちの英国訪問を通じて、両国の人々が、長年にわたる人と人とのつながりに裏打ちされた友好親善の絆を再確認するとともに、人類共通の課題の解決のためのリーダーシップを次世代へとつないでいく機会となれば幸いです」と述べられました。

宮内庁によりますと、天皇陛下は、儀じょう隊の栄誉礼に始まる一つ一つの儀式にシティの伝統を感じるとともに、多くの人に温かく歓迎してもらえたことを大変うれしく思うと話されていたということです。

天皇皇后両陛下は、現地時間の27日午前、バッキンガム宮殿を訪ねてチャールズ国王夫妻にお別れのあいさつをし、国賓としての日程を終えられます。

天皇陛下 ヨーロッパ最大の生物医学分野の研究所を視察

天皇陛下は、現地時間の26日午前、DNAの二重らせん構造を解明してノーベル生理学・医学賞を受賞したイギリスの著名な科学者の名前を冠したロンドンにある「フランシス・クリック研究所」を訪ねられました。

2016年に開設されたこの研究所では、日本を含む世界各国からおよそ1500人の研究者が集まり、がんの研究や感染症などの解明、それに診断や治療、予防の方法の開発など最先端の研究が行われています。

天皇陛下は、ノーベル賞受賞者のポール・ナース所長や、日本人の研究者などから研究内容などについて説明を受けられました。

宮内庁によりますと、天皇陛下は、実際にそこに居る人だけでなくインターネットでつながっている人も含めて日本など世界中の研究者が連携していることに大変感銘を受け、研究所ががんやインフルエンザなどの今日的な問題に取り組んでいることを理解できたと話されていたということです。