【詳細】陸上 日本選手権が開幕 田中希実 ドルーリーら決勝へ

陸上のパリオリンピック代表選考を兼ねた日本選手権が27日、新潟市で開幕しました。このうち女子1500メートル予選では中長距離のエース、田中希実選手が2組の1着で決勝に進みました。また高校2年生のドルーリー朱瑛里選手も6着で決勝進出です。
また男子400メートルハードルの予選では、すでに参加標準記録を突破し、優勝して初のオリンピック出場を目指す豊田兼選手が全体トップのタイムで28日の決勝に進みました。

記事後半では、1日目の主な結果・記録を詳しくお伝えしています。

女子1500m 田中希実 ドルーリー朱瑛里など決勝へ

陸上の日本選手権、初日の27日は、女子1500メートルの予選に5000メートルですでにオリンピックの代表に内定している中長距離のエース、田中選手が2組に出場しました。

田中希実 選手

3年前の東京オリンピックのこの種目で日本選手として初めて8位入賞を果たした田中選手は、序盤は集団の後ろにつけましたが、徐々にペースを上げて800メートル手前でトップに立ちました。

その後は、一気にほかの選手を引き離し、4分8秒16のタイムで1着でフィニッシュし、5連覇がかかる28日の決勝に進みました。

ドルーリー朱瑛里 選手も決勝へ

また、この種目には去年の全国女子駅伝で17人を抜いて区間新記録をマークした高校2年生のドルーリー朱瑛里選手が初出場し、4分16秒69のタイムで1組の6着に入り、決勝進出を果たしました。

田中希実「きょうに全力を注ぐという強い覚悟で」

田中希実選手は「自分の中できょうに全力を注ぐという強い覚悟を持って臨んだ。練習から体はきつかったが、その中でも自分らしく走ることができてタイムもよかったので、決勝でも攻めのレースをしたい」と話していました。

ドルーリー朱瑛里(しぇり)「決勝では自分の走りに集中したい」

決勝進出を決めた高校2年生のドルーリー朱瑛里選手は「調子がよかったので、しっかりついていくことができた。決勝では日本のトップ選手と一緒に走ることを大切にしながらも自分の走りに集中したい」と話していました。

【予選 結果】女子1500m 田中希実 ドルーリー朱瑛里ら決勝へ

【1組】(★は決勝進出)
▽1.ヘレン エカラレ 4:06.93 ★
▽2.チェロップ ミリアム 4:11.95 ★
▽3.卜部 蘭 4:12.07 ★
▽4.後藤 夢 4:12.35 ★
▽5.保坂 晴子 4:14.03 ★
▽6.ドルーリー 朱瑛里 4:16.69 ★

▽7.田村 紀薫 4:17.24
▽8.田崎 優理 4:17.41
▽9.田島 愛理 4:20.61
▽10.松井 晶 4:21.01
▽11.康本 花梨 4:21.27
▽12.中後 心晴 4:25.82
▽13.下森 美咲 4:27.41
▽14.尾方 唯莉 4:28.03
▽15.朝日 春瑠 4:28.42
▽16.吉井 優唯 4:33.77

【2組】(★は決勝進出)
▽1.田中 希実 4:08.16 ★
▽2.井手 彩乃 4:14.69 ★
▽3.樫原 沙紀 4:15.25 ★
▽4.出水田 眞紀 4:16.61 ★
▽5.藤田 あい 4:16.83 ★
▽6.木村 友香 4:17.40 ★

▽7.鈴木 葵 4:18.45
▽8.川村 楓 4:20.16
▽9.籔下 明音 4:20.21
▽10.正司 瑠奈 4:20.78
▽11.澤田 結弥 4:21.17
▽12.瀬木 彩花 4:22.02
▽13.塚本 夕藍 4:22.76
▽14.小山 愛結 4:24.82
▽15.真也加 ジェルーシャ有里 4:25.05 15

男子400mハードル 豊田兼、筒江海斗などが決勝へ

初日の27日は男子400メートルハードルの予選が行われ、すでに参加標準記録を突破している大学4年生の豊田選手が予選の1組に登場しました。

豊田兼 選手

豊田選手は落ち着いたスタートから伸びのある走りでスピードに乗り48秒62のタイムで1着でフィニッシュしました。豊田選手は全体トップのタイムで、28日の決勝に進み、オリンピック代表の条件となる優勝を目指します。

筒江海斗 選手

また、この種目ですでに参加標準記録を突破している
▽筒江海斗選手は決勝に進みましたが
▽黒川和樹選手は右足の肉離れのため欠場しました。

豊田兼「練習の成果がしっかり出せている」

男子400メートルハードルの予選で全体トップのタイムで決勝進出を決めた豊田兼選手は「前半は少しゆっくり入って後半に再度スピードを上げるというプランどおり走れた。練習の成果がしっかり出せていると思う。あすのレースでは自己ベストを更新して優勝したい」と話していました。

【予選 結果】男子400mハードル

【1組】(★は決勝進出)
▽1.豊田 兼 48.62 ★
▽2.小川 大輝 49.02 ★
▽3.井之上 駿太 49.24 ★
▽4.山内 大夢(東邦銀行)49.84
▽5.内藤 源一郎(大阪教育大)50.44
▽6.高橋 祐満(スターヒルズ)50.48
▽7.紺野 稜真(筑波大)50.99
▽欠場.栗林 隼正(アストライア明石A.C)

【2組】(★は決勝進出)
▽1.出口 晴翔 49.17 ★
▽2.筒江 海斗 49.40 ★
▽3.山本 竜大 49.70 ★
▽4.森高 颯治朗 49.93
▽5.金本 昌樹 50.65
▽6.菅野 航平 50.84
▽7.山科 真之介 51.18
▽8.柳田 聖人 51.54

【3組】(★は決勝進出)
▽1.児玉 悠作 49.36 ★
▽2.小田 将矢 49.68 ★
▽3.岸本 鷹幸 49.80
▽4.山本 研司 50.09
▽5.中井 脩太 50.58
▽6.高田 一就 51.15
▽7.陰山 彩大 52.27
▽欠場.黒川 和樹

男子3000m障害 青木涼真が初優勝も今大会での内定ならず

青木涼真 選手(中央)

男子3000メートル障害の決勝は、2大会連続のオリンピック出場を目指す27歳の青木涼真選手がラストスパートで競り合いを制して初優勝しました。ただ、タイムは8分24秒21で、パリオリンピックの参加標準記録の8分15秒00は突破できず、この大会での代表内定はなりませんでした。

青木涼真「調子上がらず タイトルだけ目指して走った」

初優勝した青木涼真選手は「調子が上がらず参加標準記録を突破したかったが、そういう状況でもなかったので、タイトルだけを目指して走った。達成できたので、とりあえずほっとしている」とタイムよりも結果にこだわるレースに徹したことを明かしました。
去年までこの種目を3連覇し、すでにパリオリンピックの代表に内定している三浦龍司選手が今大会は欠場したことを踏まえて「鬼の居ぬ間に初優勝を取らせてもらったという感覚だ。三浦選手の背中はまだ遠すぎるが、僕がいることで若手が目指す背中になっているとも感じている。このポジションをしっかり確保しつつ、三浦選手の背中も追っていきたい」と話していました。

【決勝 結果】男子3000m障害

▽1.青木 涼真 8:24.21
▽2.柴田 大地 8:24.68
▽3.新家 裕太郎 8:25.45
▽4.楠 康成 8:29.04
▽5.小原 響 8:31.69
▽6.佐竹 勇樹 8:32.85
▽7.菖蒲 敦司 8:33.67
▽8.中園 慎太朗 8:33.99

▽9.西方 大珠 8:35.20
▽10.佐藤 颯 8:35.99
▽11.滋野 聖也 8:37.08
▽12.吉田 光汰 8:38.43
▽13.黒木 陽向 8:39.30
▽14.永原 颯磨 8:46.45
▽15.浦田 優斗 8:49.11
▽16.砂田 晟弥 8:59.91
▽17.松本 葵 9:22.32

《1日目 このほかの主な結果》

【準決勝 結果】女子100m

君嶋愛梨沙 選手がトップで決勝へ

【1組】(★は決勝進出)
▽1.君嶋 愛梨沙 11.48 ★
▽2.三浦 愛華 11.60 ★
▽3.壹岐 あいこ 11.77 ★
▽4.奥野 由萌 11.77 ★
▽5.岡根 和奏 11.85
▽6.千葉 安珠 11.86
▽7.松本 沙耶子 11.94
▽8.岩田 乃映 11.96

【2組】(★は決勝進出)
▽1.御家瀬 緑 11.55 ★
▽2.山中 日菜美 11.68 ★
▽3.ロス 瑚花アディア 11.73 ★
▽4.佐藤 瑠歩 11.83 ★
▽5.藏重 みう 11.89
▽6.兒玉 芽生 11.90
▽7.三好 美羽 11.93
▽8.渡邊 輝 12.00

今大会最年少14歳 三好美羽が準決勝進出の健闘

広島県福山市の中学3年生で今大会最年少の三好選手は女子100メートルに出場し、予選では躍動感のある走りで、11秒95のタイムをマークし、上位16人が進める準決勝へ進出しました。

準決勝でも好スタートを切ると序盤は並んで走る国内トップ選手に食らいつく力強い走りを見せました。終盤に遅れて11秒93のタイムでこの組8人中7着と、決勝進出はなりませんでしたが、健闘を見せました。

レース直後に取材エリアで大勢の報道陣に囲まれると「ここまで来られたのが、奇跡です。楽しかったです。タイムの目標は11秒7台を出すことでしたが、こういう舞台で緊張してしまうので、上出来だと思います」と笑顔で振り返りました。
そのうえで、憧れの選手として、同じ広島県出身で男子100メートルの日本記録を持つ山縣亮太選手の名前をあげ「私が山縣選手に憧れているように、いつか憧れられる選手になって、夢を与えたいと思う。将来は世界で戦える選手になりたいので、そこをゴールにちょっとずつ世界につなげていきたい」と大きな目標を掲げました。

【決勝 結果】女子走り高跳び

高橋 渚 選手

▽1.高橋 渚 1m87
▽2.津田 シェリアイ 1m78
▽3.青山 夏実 1m78
▽4.武山 玲奈 1m75
▽5.新村 愛里 1m75
▽6.八重樫 澄佳 1m70
▽6.諸隈 あやね 1m70
▽8.松本 万鈴 1m70
▽8.竹内 萌 1m70
▽10.鐡丸 美由紀 1m70
▽11.高橋 美月 1m65
▽11.石黒 樹子 1m65
▽13.大玉 華鈴 1m65
▽13.細田 弥々 1m65
▽15.和田 真琉 1m65
▽記録なし.伊藤 楓

【決勝 結果】女子3000m障害

吉村玲美 選手が優勝

▽1.吉村 玲美 9:45.77
▽2.齋藤 みう 9:48.15
▽3.西山 未奈美 9:48.16
▽4.山下 彩菜 9:57.04
▽5.瀬川 帆夏 9:58.28
▽6.森 智香子 10:01.16
▽7.西出 優月 10:02.76
▽8.小池 彩加 10:07.23
▽9.川瀬 真由 10:09.87
▽10.小林 舞香 10:10.14
▽11.高橋 優菜 10:14.23
▽12.赤堀 かりん 10:17.14
▽13.大宅 楓 10:32.76
▽途中棄権.本庄 悠紀奈

【決勝 結果】男子ハンマー投げ

中川達斗 選手

▽1.中川 達斗 72m71
▽2.古旗 崇裕 70m94
▽3.福田 翔大 70m90
▽4.柏村 亮太 70m73
▽5.木村 友大 69m05
▽6.執行 大地 68m55
▽7.山川 滉心 67m11
▽8.垂井 祐志 65m45

▽9.赤穂 弘樹 63m76
▽10.川合 隆誠 63m59
▽11.久門 大起 63m45
▽12.石坂 奨真 62m29
▽13.小田 航平 62m29
▽14.小島 諒大 61m32
▽15.岡田 大輝 59m50
▽16.阿南 渉真 52m31

【決勝 結果】女子ハンマー投げ

マッカーサー ジョイ アイリス 選手

▽1.マッカーサー ジョイ アイリス 65m66
▽2.小舘 充華 65m63
▽3.村上 来花 63m24
▽4.藤本 咲良 63m17
▽5.エパサカ テレサ 62m06
▽6.高橋 沙湖 60m58
▽7.渡邉 ももこ 60m56
▽8.勝冶 玲海 60m16
▽9.勝山 眸美 58m38
▽10.佐野 陽菜 55m98
▽11.川島 空 55m88
▽12.中務 真衣 55m21
▽13.竹谷 陸 54m13
▽14.高橋 萌々子 53m85
▽15.鹿毛 邑嬉乃 53m31
▽16.佐藤 若菜 52m79
▽記録なし.大沢 柚月

【決勝 結果】男子三段跳び

▽1.安立 雄斗 16m70
▽2.山下 祐樹 16m26
▽3.水野 皓太 16m11
▽4.小田 大雅 16m11
▽5.荒木 基 15m96
▽6.伊藤 陸 15m90
▽7.城崎 滉青 15m87
▽8.宮尾 真仁 15m84
▽9.池畠 旭佳瑠 15m78
▽10.松下 悠太郎 15m76
▽11.山下 航平 15m76
▽12.香嶋 隼斗 15m64
▽13.有松 今日 15m62
▽14.小川 宏海 15m43
▽15.山本 凌雅 15m35
▽16.横森 友朗 15m35
▽17.藤内 誠也 15m15
▽18.菅野 翔太 14m79
▽19.川西 紘生 14m74
▽20.對馬 勇斗 14m58

第108回 日本陸上競技選手権大会

▽会場:新潟・デンカビッグスワンスタジアム
▽期間:6月27日~30日
▽種目:トラック =100m~5000mまでの18種目
    フィールド=走り幅跳びや走り高跳び、やり投げなど16種目

☆五輪の内定条件は

パリオリンピックの陸上のトラックとフィールド種目では、すでに、去年の世界選手権の成績などから5人の選手が内定しています。

▽女子やり投げ:北口榛花選手
▽女子5000メートル:田中希実選手
▽男子100メートル:サニブラウン アブデル・ハキーム選手
▽男子110メートルハードル:泉谷駿介選手
▽男子3000メートル障害:三浦龍司選手

日本選手権でオリンピックの代表に内定するには、優勝して参加標準記録を突破する必要があります。

◆すでに参加標準記録を突破している選手
=今大会の優勝が条件

◆去年の世界選手権で入賞している選手
=今大会の順位に関係なく参加標準記録を満たした時点で内定

ただ、この条件を満たせなくても、世界ランキングなどで日本選手権のあとに代表に内定する可能性は残されています。それでも今大会でなるべく高い順位に入ることが重要になります。

《1日目 注目は》

男子400mハードル(参加標準記録48秒70)

▽豊田兼選手(48秒36)
▽筒江海斗選手(48秒58)

大学4年生の豊田選手は、5月の国際大会で自己ベストを更新して優勝するなど今、勢いに乗っています。調子を上げている筒江選手の2人を中心とした争いになりそうです。

女子1500m

女子5000メートルで代表に内定している田中希実選手は今大会、5000メートルに加えて800メートルと1500メートルにもエントリーしています。オリンピック本番を見据えてどんな調整ぶりを見せてくれるのかにも注目です。

次の世代を担う若いアスリートの走りにも期待です。
高校2年生のドルーリー朱瑛里選手が出場します。去年の全国女子駅伝で17人抜きの区間新記録をマークした注目の高校生ランナーです。憧れの存在にあげる田中希実選手とともにどんな走りをみせるかにも注目です。

《1日目 競技予定》

★は決勝種目

【トラック競技】

▽14:20 男子 200m 予備予選
▽15:00 女子 100m 予選
▽16:45 女子 400m 予選
▽17:15 男子 400mH 予選
▽17:40 男子 1500m 予選

★18:10 女子 3000m障害 決勝
▽18:30 女子 100m 準決勝
▽18:45 女子 1500m 予選
▽19:10 男子 200m 予選
★19:35 男子 3000m障害 決勝

【跳躍競技】

★17:00 男子 三段跳 決勝
★17:30 女子 走高跳 決勝

【投てき競技】

★15:00 男子 ハンマー投 決勝
★17:20 女子 ハンマー投 決勝