のと鉄道 乗務員が語り部に 地震当時の状況を乗客に語る

石川県の能登半島を走る「のと鉄道」では、元日に発生した地震の経験を広く伝えようと、乗務員が語り部として列車に乗り、乗客に当時の状況を語りました。

「のと鉄道」は元日の地震で線路や駅が大きな被害を受け、社員の多くが避難生活を送りながら修理や点検などにあたり、ことし4月、全線で運転を再開しました。

こうした経験を広く伝えようと、26日は乗務員3人が語り部としてツアー客向けの貸し切り車両に乗りました。

列車が七尾市の能登中島駅に到着すると、乗務員の1人が「元日にここで大きな揺れに襲われ、お客さまを津波から守るため、精いっぱい高台に誘導しました」と、地震発生時を振り返りました。

そして、運行再開までの経緯を説明したうえで「復旧・復興には時間がかかりそうですが、これからも応援をお願いします」と語りかけると、乗客から励ましの声や拍手が送られました。

東京から訪れた65歳の女性は「話を聞きながら建物が崩れている様子を目にして、地震のすさまじさを実感しました」と話していました。

輪島市に住む乗務員の宮下左文さんは「地震後初めての乗務で、当時の経験がよみがえり恐怖もありましたが、耳を傾けてくれてうれしかったです。語り部の活動を通じて能登地方を訪れる人を増やし、復興を後押ししたいです」と話していました。

「のと鉄道」では今後、地震の経験を伝える「語り部列車」の運行を計画しているということです。