日韓財務対話 円とウォンの値下がり懸念 “適切な対応”を確認

日本と韓国の財務当局者が経済や財政の課題について意見を交わす「日韓財務対話」が韓国で開かれ、日本の円と韓国の通貨ウォンの値下がりに深刻な懸念を共有したうえで、為替の過度な変動に対しては引き続き適切な対応を取ることを確認しました。

日韓財務対話は、両国の関係の改善を受けて去年、7年ぶりに行われ、ことしの会合は、25日韓国・ソウルで開かれました。

冒頭、鈴木財務大臣は「日本と韓国はさまざまなレベルで対話が行われ、日々、親密さを増している。協力関係が一層深まることを期待したい」と述べました。

韓国のチェ・サンモク(崔相穆)副首相兼企画財政相は「両国は共通の問題に取り組むパートナーであり、最適な政策を組み合わせるため経験の共有が必要だ」と述べました。

会合後に発表された共同文書によりますと、円と韓国のウォンが急速に値下がりしていることに深刻な懸念を共有したうえで、為替の過度な変動や無秩序な動きに対して引き続き、適切な対応を取ることを確認しました。

一方、核・ミサイル開発を行う北朝鮮や、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する制裁を着実に実行するため、税関当局による情報交換をさらに促すなど、緊密に連携することで一致しました。

会議のあと鈴木大臣は記者団に対し「会議では円安を通じた輸入物価の上昇が消費に及ぼす影響について説明した。両国で為替について懸念を共有することはとても大切なことだ」と述べました。

韓国企画財政省 担当者「市場介入 具体的は話はなかった」

ソウルで開かれた「日韓財務対話」の終了後、韓国の企画財政省の担当者は、為替をめぐる協議に関連して「韓国の通貨ウォンと日本の円に対する協調での市場介入については、具体的は話はなかった。それはそれぞれの国の努力の話だ」と述べました。

また、会合では、少子化問題についても協議したということで、この担当者は「両国共通の関心事であり、財政支出を伴う政策なだけに共通の課題を抱えている。経済成長のためには中長期的な人口構造の安定性が必要だ」と述べ、引き続き両国の間で意見を交わしていく考えを示しました。