中国 蘇州 日本人学校のバス襲撃 中国外務省“偶発的な事件”

中国東部の江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが、刃物を持った男に襲われ、日本人の親子らがけがをした事件について、中国外務省の報道官は25日の記者会見で、事件は遺憾だとしたうえで警察は偶発的な事件だと判断していると強調しました。

この事件は24日、江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが下校中の子どもたちを乗せてバス停に到着した際、刃物を持った男に襲われたもので、迎えに来ていた日本人の母親と一緒にいた子どもがけがをしたほか、バスに乗っていた案内係の中国人女性も刺されて重体になっています。

この事件について、地元の警察は、丸1日たった25日夕方になって事件が起きたことを公表し、52歳の男の容疑者を拘束したとしています。

警察によりますと、容疑者は最近、別の地域から蘇州に来て、無職だったということです。

事件の動機などは明らかにしていません。

一方、中国外務省の毛寧報道官は25日の記者会見で、事件は遺憾だとしたうえで「警察の初期的な判断では偶発的な事件だ」と強調しました。

そして「われわれは引き続き効果的な措置をとり、すべての外国人の安全を守る」と述べ、留学やビジネスなどで訪れる外国人に影響は及ばないとアピールしました。

赤松秀一総領事“極めて遺憾” 蘇州市長に申し入れ

中国東部の江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが、刃物を持った男に襲われ、日本人の親子らがけがをした事件をめぐって、上海にある日本総領事館の赤松秀一総領事は蘇州市の市長と面談し、日本人学校周辺に対するいっそうの警備強化などを申し入れました。

江蘇省蘇州で、24日、日本人学校のスクールバスが下校中の子どもたちを乗せてバス停に到着した際、刃物を持った男に襲われ迎えに来ていた日本人の母親と一緒にいた子どもがけがをしたほか、バスに乗っていた案内係の中国人女性も刺されて重体になっています。

上海にある日本総領事館は赤松秀一総領事が25日、蘇州市の呉慶文市長と面談し「このような事案が発生したことは極めて遺憾である」と伝えたと発表しました。そして、赤松総領事は事件の背後を含めた詳細情報を今後も速やかに共有することや日本人学校周辺に対するいっそうの警備強化などを申し入れたということです。これに対し、呉市長は「蘇州市としても極めて遺憾だ。初歩的な捜査の過程では偶発的事件であると見ている」とした上で、今後も警備の強化を続けるとともに、関連情報を日本側に迅速に共有する考えを示したということです。

蘇州の日本人学校は事件を受けて、25日は休校となりましたが、26日は安全対策を講じた上で授業を再開するということです。

事件の起きた地域は日本人が多く住む

事件の起きた地域に13年間住んでいるという相馬華織さんによりますと、現場のバス停は、日本人学校やインターナショナルスクールなどのスクールバスが利用する場所で、ふだんから登下校の時間帯には子どもを迎えるため多くの保護者が集まっていたということです。

また、スクールバスには、子どもたちの乗り降りや迎えの保護者の確認などを行うため、運転手以外の案内係が必ず乗車しているということです。

相馬さんは「このあたりは日本人が多く住んでいます。夜、食事にふらっと出て散歩がてら帰ってくることもできるほどで、日本と同じ感覚で出歩いても危険を感じません。ですからこのような事件が起きたことが信じられません」と話していました。

また「事件のあと、『外に出たくない』と話す子どもや、『路上でタクシーを拾えない』と話す大人もいて、誰もがストレスを感じていると思います。模倣犯のような形で日本人がいろんなところで襲われるような連鎖が起きることが怖いです」と話していました。