神奈川 横須賀の「猿島」 砂浜の浸食で海水浴場の開設中止に

各地の海水浴場で砂浜の浸食が報告されるなか、神奈川県では、横須賀市の沖合にある無人島「猿島」で砂浜の浸食が進み、海水浴場の開設が中止になっています。

猿島にある「猿島海水浴場」は昭和32年にオープンし、横須賀市の中心部から船で10分ほどで行けることもあり、多くの海水浴客でにぎわってきました。

しかし、砂浜の形状の変化が著しく、島の桟橋近くのエリアが大きく浸食されたため、市は2019年にエリアを変えて海水浴場を開設しました。

その後、新型コロナの感染拡大による中止をへて、去年は再開が検討されましたが、さらに砂浜の浸食が進み、急に深くなる場所や段差が確認されたたため、海水浴場を開設できない状況が続いています。

市によりますと、2009年に島の桟橋が新しくなり、古い桟橋が撤去されたことで潮の流れが変わった可能性も考えられるものの、詳しい原因はわからないとしています。

専門家は

海岸工学が専門で茨城大学工学部の横木裕宗教授は、川から流れ出して海岸に沿って堆積する砂が、河川の護岸工事などが進むことによって減っている一方で、波によって砂浜から流されるのは変わらないため、砂浜が浸食して痩せ細っている状況で、全国で同じ理由で砂浜の浸食が起きているのではないかと指摘しています。

そのうえで横木教授は「砂浜は波の力を弱める緩衝帯の役割も果たしていて、生態系にとっても貴重な場になる。この状況を踏まえて、対策を検討しなければいけない」と話しています。