総裁選めぐって始まる駆け引き 相次ぐ発言に波紋も

総裁選めぐって始まる駆け引き 相次ぐ発言に波紋も
永田町では今、自民党総裁選挙をめぐる駆け引きが始まっています。
党内から相次ぐ発言。
菅前総理大臣は岸田総理大臣の対応を批判し、波紋が広がっています。
(取材班)
【ニュースウオッチ9】NHKプラスで配信中↓↓↓(2024年7月1日 午後10:00 まで)

菅氏の岸田首相対応批判に波紋も

国会が閉会し、6月24日の岸田総理大臣です。

ノーネクタイでしたが、表情は緩めずに官邸に入りました。
永田町では、早くも次の焦点、ことし秋までに行われる「自民党総裁選挙」をめぐる駆け引きが始まっています。

党内からさまざまな発言が出ています。
24日午前に行われた林官房長官の会見。

記者団から、こんな質問が…。
(記者)
「菅前首相は昨日公開のインターネット番組で、国民の政治不信は責任を取っていない岸田首相に一因があるとの考えを示しました……」
会見で取り上げられた菅前総理大臣の発言。

23日夜、出演したオンライン番組でのものです。

菅氏は、政治とカネをめぐる問題に関連し、こう発言。
(菅前総理大臣)
「岸田総理大臣自身が責任を取っておらず不信感を持つ国民は多い」
ことし秋までに行われる総裁選挙で党勢回復に向けて刷新感を示すことが重要だという考えを示しました。

林官房長官の会見で、記者団からは…。
(記者)
「事実上の退任要求ともとれる発言です。受け止めについてお尋ねします」
(林官房長官)
「はい。ご指摘の発言の報道につきましては承知をしておりますが、個々の発言について政府としてコメントすることは控えたいと思います」

「先日、岸田総理大臣が述べたとおり、国民の政治に対する不信の声を真摯に受け止めつつ、先送りできない課題に引き続き専念し、結果を出していきたい」
自民党内では、菅氏の発言に波紋が広がっています。
(中堅・若手ら)
「内閣や党の支持率が低迷している現状から、次の衆議院選挙は、岸田総理大臣のもとでは戦えないと考える議員は多く、当然の発言だ」
一方で、岸田総理大臣に近い議員からは、物価高などの政策課題が山積する中で結束の乱れが表面化するのは好ましくないという懸念も出ています。
(岸田総理大臣に近い議員)
「物価高などの当面の政策課題に着実に対応していくべきだ」

「国民から党が割れているように見られるのはマイナスだ」

茂木幹事長は?石破元幹事長は?

総裁選挙をめぐる発言は、ほかにも相次いでいます。
茂木派の東国幹 衆議院議員は22日、党の会合でこう発言。
(東国幹 衆院議員)
「岸田総理大臣は軽々しく再選と口にするのではなく、思いとどまってほしい」
その翌日、総裁選挙への対応を問われた茂木幹事長は…。
(茂木幹事長)
「夏の間、よくいろいろ考えたいと思っている。党として反省もしながら、日本をどうしていくか、地域をどう活性化していくか、みんなと力をあわせてしっかり結束できるような体制を作っていくことが大切だ」
(記者)
「前向きと思ってよろしいでしょうか?」
(茂木幹事長)
「そんなこと言ってません」
また、過去に、総裁選挙に立候補した石破元幹事長は、23日の講演で、岸田総理大臣の政権運営に対し党内の一部から批判的な意見が出ていることを念頭に、こう発言。
(石破元幹事長)
「岸田総理を見ていると、すごい激務だ。悪口を言うのは簡単かもしれないが、党がいかに総理大臣の負担を減らすかも一生懸命考えなければならない」
そして質疑で出席者から、ことし秋までに行われる党の総裁選への対応を問われ…。
(石破元幹事長)
「東京都知事選や都議会議員補欠選挙はわが党も命運をかける選挙であり、そういう時に『俺が、俺が』とか『お前は辞めろ』とか言うのは良いことだとは思わない」「来たるべき時に、この国をどうするのか、きちんと話ができ、どの方面から質問されても答えられるようにしておかなければ『総裁選挙に出る』というのは、国民に対して失礼なことになる」

“派閥なき総裁選”の展開は?

総裁選挙をめぐる発言が、国会が終わり、早くも相次いでいます。

今回の総裁選挙は、いわば“派閥なき総裁選”で、これまで以上に読みづらい展開になることも予想されます。
派閥の解消を訴えてきた菅前総理は、政治資金問題を受けて解散を決めた安倍派や二階派の議員などと、今月6日夜、会合を持ちました。
また、派閥を存続させている麻生副総裁も、茂木幹事長や岸田総理と相次いで会っていて、菅氏と麻生氏、2人の実力者が誰を推すのか注目を集めているんです。
一方、野党側では、立憲民主党の安住国会対策委員長は「顔をかえれば国民が支持してくれるかと言えば、そうではない」と述べました。

ただ、野党を取材すると、新たな自民党総裁のもとで衆議院が解散されることを警戒する声もあります。
まずは岸田総理がどう動くのか。
そして対立候補は名乗りをあげるのか。
“熱い”季節を迎えることになりそうです。
(ニュースウオッチ9 6月24日放送)