大阪・関西万博 参加国などの担当者会議 開会式は来年4月12日

大阪・関西万博の参加国などの担当者を集めた会議が、25日から奈良市で始まりました。会議の中で実施主体の博覧会協会は、開会式を来年4月12日に行うことを明らかにしました。

来年4月に開幕する大阪・関西万博にはおよそ160の国や地域と9つの国際機関が参加を表明していて、担当者あわせておよそ580人を集めた会議が、25日から2日間の日程で奈良市で始まりました。

この中で博覧会協会の石毛事務総長は、開会式を来年4月12日に行うことを明らかにしました。

また、BIE=博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長は「最後の追い込みの段階だ。みんなで団結して準備を行い、数千万人の来場者にとって記念すべき万博にしよう」とあいさつしました。

25日の全体会合では、運営に関する手続きなどを説明する場が設けられ、会場での売買が全面的にキャッシュレスになることや、電気などの使用料金、設備を使う際の細かいルールを記したガイドラインなどを、担当者が説明したということです。

建設現場でのメタンガス爆発事故 概要や安全対策を説明

また、ことし3月に会場の建設現場で起きたメタンガスによる爆発事故について、事故の概要や安全対策を説明したということです。

会議は26日まで行われ、それぞれの国のニーズに沿ったグループ別の会合などが開かれる予定です。

海外パビリオン 建設の最新状況は

今回の万博には161の国と地域が参加する予定で、
▼参加国が独自のデザインをもとに自前でパビリオンを建設する「タイプA」、
▼実施主体の博覧会協会が建設した建物を単独で借りる「タイプB」、
▼協会が建設した建物に複数の国で入る「タイプC」に分かれているほか、
▼準備が遅れている場合に協会が組み立て式の建物を建て費用を参加国が負担する「タイプX」の選択肢も設けられています。

「タイプA」を予定していた国はもともと60か国程度ありましたが、アルゼンチンやメキシコなどが撤退したほか、参加の方式を変えるなどして、今は51か国となっています。

具体的には、▽ブラジルやアンゴラなど3カ国が「タイプX」に移行することを決めたほか、▽イスラエルやナイジェリア、スロベニアなど5か国が「タイプC」への移行を決めています。

51か国のうち40か国は建設業者が決まっていて、このうち32か国はすでに着工していますが、建設資材の高騰やパビリオンのデザインの難しさなどを背景に、11カ国で建設業者がまだ決まっていません。

博覧会協会は、開幕に間に合う期限が近づいているとして、すでに9棟の「タイプX」の建物の建設を始めていて、参加国に対して、「タイプX」や「タイプC」への移行など、開幕に間に合うための現実的な選択を求めることにしています。

運営の課題など 参加の国や地域の要望や相談をサポート

博覧会協会によりますと、海外パビリオンの建設が徐々に進み、参加する国や地域の関心や寄せられる要望は、パビリオンの建設から運営上の課題へと移ってきているということです。

今回の会合では、運営の準備をする上で、日本での滞在が始まるスタッフのビザの取得や、生活するための拠点の確保などについて説明します。

また、博覧会協会は、24日から参加する国や地域の出展に関するさまざまな相談を一括して受け付ける窓口として、大阪 住之江区のビルに「ワンストップショップ」を開設しました。

展示品の輸入やレストランの営業許可など26の分野について申請や手続きなどを相談したり進めたりすることができ、来年2月からは万博会場の夢洲に移して、来年の万博の閉幕まで常設する予定です。

参加国の声 スイス「パビリオン建設は順調 焦点は運営面」

自前でパビリオンを建設する「タイプA」を選択しているスイスの政府代表は、会議が始まる前に報道陣の取材に応じ、「パビリオンの建設については基礎工事が完了するなど順調に進んでいる。今、われわれの準備の焦点はパビリオンの建設から運営面に移っていて、この会議では日本でのスタッフの雇用やスイスから来日するスタッフのビザなどについて話し合うことになるだろう」と話していました。

参加国の声 ポーランド「ようやく建設会社と契約 ひと安心」

自前でパビリオンを建設する「タイプA」で参加する予定のポーランドの担当者は、「先週の18日にようやく建設会社と契約できて、ひと安心です。今から明るく出展内容やイベントについて考えられます。スケジュールはきついですが、開幕までに全部間に合うと確信しています。これまで建設のことばかり考えていましたが、スタッフの雇用やビザについて今回の会議でよく説明を聞きたいと思います」と話していました。

参加国の声 ポルトガル “資材高騰などで外観デザイン変更”

自前でパビリオンを建設する「タイプA」を選択している、ポルトガル政府のパビリオンの担当者は、資材価格の高騰などのため外観のデザインを変更したことを明らかにした上で、「ことし8月に着工し、10月中旬までには重機を使う工事を終了させる予定で、内装工事などを行ったあと、来年3月にはパビリオンとして完成する。組み立てるように建設していくので、開幕の前までに完成すると確信している」と述べました。

参加国の声 エジプト「全体的にサポートする会社などが必要」

実施主体の博覧会協会が建設した建物を単独で借りる「タイプB」で出展するエジプトの政府代表は、NHKの取材に対し、「今回の会議ではエジプトから来るスタッフのビザやパビリオンでの展示内容の準備などについて、日本側と話をしたい」と話しました。

その上で、準備状況については「日本側の協力ですべて予定どおりにいくと思っている。個別の調整というよりは、日本でわれわれを全体的にサポートしてくれる会社などが必要だ」と話していました。

参加国の声 トーゴ「首都に日本大使館なく ビザ取るのが難しい」

アフリカのトーゴの担当者は「日本大使館が首都のロメになく、コートジボワールにあるため、ビザを取ることが私たちにとって難しいです。だからビザを出してくれる方法を見つけてもらいたいです」と話していました。

大阪の木材関連事業者団体“パビリオン設計から建設まで一手に”

大阪・関西万博でパビリオンの建設準備が遅れている国がある中、大阪府内の木材に関連する事業者の団体からは、設計から建設までを一手に引き受けて開幕に間に合わせようという提案も出ています。

大阪府内の木材や建設業に携わる事業者らおよそ1500社が加盟する大阪府木材連合会は、来年4月の開幕までに間に合うプランを作成しました。

「タイプ・ウッド」と名付けられたこの提案は、ベースとなる木造のパビリオンの設計案が5つ用意されていて、参加国が選べるほか、参加国の要望を受けてアレンジすることもできるということです。

連合会によりますと、パビリオンの建設は連合会に加盟している事業者が建設を担います。

大阪府建築士会とも連携することで、デザインから行政手続き、建設工事までを「ワンストップ」で引き受けることができるということで、今からでも万博の開幕までに準備を間に合わせることが可能だとしています。

大阪府木材連合会の津田潮会長は、「パビリオンの場所が空き地になってしまってもつまらないし、それは大阪の名折れだ。参加国にはぜひパビリオンを建ててほしいし、そのためにできるだけお手伝いしたい」と話していました。

(6月25日「ほっと関西」で放送)