金融庁 三菱UFJ銀行など3社に業務改善命令 顧客情報を無断共有

三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の銀行と2つの証券会社が顧客企業の非公開情報を無断で共有していた問題で、金融庁は24日、3社に対して、金融商品取引法にもとづき、経営陣を含む責任の所在を明確化することなどを求める業務改善命令を出しました。

金融庁が業務改善命令を出したのは、三菱UFJフィナンシャル・グループの
▽三菱UFJ銀行と
▽三菱UFJモルガン・スタンレー証券
それに
▽モルガン・スタンレーMUFG証券の3社です。

金融商品取引法は、同じグループの銀行と証券会社の間での情報共有を制限する「ファイアーウォール規制」を設けていますが、証券取引等監視委員会の調査で3社は、2021年から去年にかけて、顧客企業の同意を得ずに企業の経営戦略に関わる非公開情報などを合わせて13回共有していたことが分かっています。

また、不適切な情報共有の中には、三菱UFJ銀行の当時の専務執行役員が三菱UFJモルガン・スタンレー証券の当時の副社長に伝えるなど幹部が関わるケースもありました。

金融庁は3社に対して原因の分析と再発防止に向けた計画を提出するとともに、経営陣を含む責任の所在を明確化するよう求めています。

また、親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループに対しても、グループ全体の経営管理態勢が不十分だとして、銀行法にもとづき原因や再発防止策などの報告を求める命令を出しました。

各社コメント「実効性の高い方策を策定してまいります」

親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「心よりおわび申し上げます。銀証連携ビジネスの実態に適した管理態勢の整備が不十分でした。厳粛に受け止め、法令の遵守態勢など再発防止のためのより実効性の高い方策を策定してまいります」というコメントを出しました。

また、モルガン・スタンレーMUFG証券は「このたびの命令を真摯(しんし)に受け止め、業務改善計画を速やかに提出し改善策を確実に実行することで内部管理態勢のいっそうの強化を図ってまいります」とコメントしています。

林官房長官「大変遺憾 抜本的な改善を」

林官房長官は、午後の記者会見で「わが国を代表する金融グループで顧客情報の不適切な授受などが行われていたことは大変遺憾だ。各社においては本件を重く受け止め、こうした事態が二度と発生することがないよう抜本的な改善に取り組む必要があり、金融庁でも適切に促していく」と述べました。

鈴木金融相「経営管理態勢の強化を含め改善を」

鈴木金融担当大臣は、記者団の取材に応じ「わが国を代表する金融グループにおいて、顧客情報の不適切な授受が行われていたこと、これは法律が禁じていて大変に遺憾なことだ。グループ全体として本件を重く受け止めて、こうした事態が二度と発生することがないよう、改めて経営管理態勢の強化を含め、抜本的な改善対応に取り組んでもらいたい」と述べました。