博多 女性殺害 懲役30年求刑 弁護側“ストーカー違反は無罪”

去年、2023年1月、JR博多駅近くの路上で元交際相手の女性を待ち伏せしたうえ殺害したなどとして殺人などの罪に問われている被告の裁判で、検察は「いっぺんの慈悲のない残忍極まりない悪質な犯行だ」として懲役30年を求刑しました。一方、弁護側はストーカー規制法違反については無罪だとして、懲役17年が相当だと主張しました。

住所不定、無職の寺内進 被告(32)は、去年1月、JR博多駅近くの路上で、元交際相手の会社員、川野美樹さん(当時38)を待ち伏せしたうえ包丁で刺して殺害したとして殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われています。

24日、福岡地方裁判所で開かれた裁判で、亡くなった川野さんの母親の意見陳述書が読み上げられました。

この中で、母親は「娘は家族の生活のため、一家の大黒柱として生活を支えていました。孫は今でも、学校に通えていません。私も胸に穴が開いてしまった切なさやさみしさがあります。事件のあともストーカーによる事件が後を絶ちません。できるかぎり厳しい処罰でないと悲しい事件は防げません」などと述べました。

続いて検察は、「法治国家に対する信頼を損ないかねない事件で、いっぺんの慈悲のない残忍極まりない悪質な犯行だ」として懲役30年を求刑しました。

一方、弁護側は「事件当日、被告は被害者と偶然出会い、待ち伏せをしていない。包丁も護身のために所持していて計画的な殺害ではない」と述べストーカー規制法違反については無罪だとして、懲役17年が相当だと主張しました。

最後に寺内被告は「ご遺族の方、このたびは大事な娘さんの命を奪ってしまい申し訳ありません。娘の成長を見守る母親の権利を奪ってしまい、申し訳ありません。毎日毎日、後悔しています。幸せな家族の日常を奪ってしまい申し訳ありません」などと謝罪しました。

判決は、6月28日に言い渡されます。