バスケ男子日本代表 オーストラリアと強化試合 第2戦 引き分け

48年ぶりに自力でオリンピックに出場するバスケットボール男子の日本代表が若手中心のオーストラリアと強化試合の第2戦を行い、終盤で追いつく粘りを見せて95対95で引き分けました。

北海道で22日行われた若手中心のオーストラリアとの強化試合第1戦に1点差で敗れた日本は23日の第2戦は第1クオーターから司令塔の河村勇輝選手のドライブやジョシュ ホーキンソン選手の攻守にわたる活躍で29対23とリードしました。

しかし、第2クオーターはディフェンスの圧力を強めた相手に攻撃の勢いを止められ、49対49の同点に追いつかれ、第3クオーターも相手の高さのある攻撃に苦しんで逆転を許して3点を追って第4クオーターに入りました。

第4クオーターは日本が厳しいディフェンスから素早い攻撃につなげて逆転に成功し、そのあとはシーソーゲームになりましたが、終盤に河村選手が連続得点をマークし残り19秒の場面でも河村選手のスリーポイントで同点に追いつきました。

試合はこのまま95対95で引き分けとなりました。

日本は身長差をつかれて後半に流れを失った第1戦の課題を改善して、最後まで攻守に体を張って粘り強く戦い、両チームトップの28得点の活躍を見せた河村選手に続いて、23日、29歳の誕生日を迎えたホーキンソン選手がゴール下で力を発揮して23得点を挙げました。

河村勇輝 同点のスリー「みんなの思いが乗ったシュート」

河村勇輝選手は「諦めない気持ちで、最後の最後まで戦った。1秒で結果が変わってしまうのがバスケットボールのだいご味かと思うので、ブザーがなるまで戦い抜こうと思っていた」と自身のプレーを振り返りました。

残り19秒で決めた同点のスリーポイントシュートについては「ファンやチームメイト、みんなの思いが乗ったシュートだったと思う。決めきることができてよかった」と話しました。

そのうえで来月開幕するパリオリンピックを見据えて「オーストラリアとの2試合でいい点も悪い点も出たと思う。それをしっかりと合宿の練習の中でもう1度見つめ直して、新たな課題にチームとして取り組んでいければ成長できると思う」と話していました。

ホーキンソン「自分の役割 しっかりやれた」

ジョシュ ホーキンソン選手は「きのうの試合の反省点をしっかり修正することができた。本番はパリオリンピックで今回の試合はそこに向けた1つの準備だと思う。準備を積み上げていくという意味では本当によかったと思う」と試合を振り返りました。

ゴール下で存在感を発揮した自身のプレーについては「自分の役割は、しっかりと相手にスクリーンをかけたあとにゴールに向かってダイブすることだ。パスが入っても入らなくても、そうすることで、相手のディフェンスが縮こまってマークが空いた状況で周りの選手がスリーポイントシュートを打てる。きょうはそこをしっかりやれたと思う」と胸を張りました。

そのうえで23日が29歳の誕生日だったことを踏まえて「誕生日にプレーするというのは特別な気持ちで、チームメイトやファンもサポートの気持ちを見せてくれてすばらしい気持ちになった。みんなに改めて感謝したい」と笑顔で話していました。

司令塔 河村勇輝 第1戦の悔しさから強みを再認識

パリオリンピック本番を見据えたオーストラリアとの強化試合で、連敗しかけたチームを土壇場で救ったのが司令塔の河村勇輝選手でした。

河村選手は、強化試合の第1戦に先発したものの、本来の積極的なドライブは影を潜めて、第1クオーターの予定していたより早いタイミングで同じポジションでキャプテンの富樫勇樹選手と交代しました。

この交代の理由について、試合後の会見でトム・ホーバスヘッドコーチは「河村選手にもっと長くプレーさせたかったが、チームのリズムがあまりよくなかったので、キャプテンを使ったほうがいいと思った」と説明しました。

同じ会見で、河村選手も司令塔として試合をコントロールできなかったことを敗因にあげ、「自分とチームメートの強みを生かすことができず、持ち合わせている力の少しも出せなかった。もっと危機感や責任、そして覚悟を持ってプレーしないといけない」と悔しさを口にしていました。

そして、23日の第2戦。

先発した河村選手は、第1戦とは違う姿を見せました。

試合の序盤から、身長2メートルを超える相手選手が待ち構えるゴール下に果敢にドライブを仕掛けて得点をあげると、アシストもさえて、日本の攻撃をけん引しました。

相手にリードを許し、苦しい展開となった第4クオーターの終盤には、連続得点でチームを鼓舞し、このクオーターだけで10点を挙げる活躍で勝負強さを見せました。

試合のあと、ホーバスヘッドコーチは「きのうの試合を反省して、すぐに立ち直るのが河村選手らしい。すごくよかった」と笑顔でたたえました。

また、富樫選手は「河村選手への期待はすごく高いので、それを超えていくのは簡単ではないと思うが、彼にはそれができると思う。これからも思いっきりやってほしい」と期待を寄せていました。

去年のワールドカップでも日本の原動力となった河村選手の力は、強豪がそろうパリオリンピック本番でも必要になります。

23日の試合のあと、河村選手は「僕が出ている時間帯で、どうオフェンスを作るのがいいのか、改めてこの2試合でわかった」と手応えを口にしました。

強化試合は2試合とも勝利することはできませんでしたが、悔しさを経て、23歳の若き司令塔がみずからの強みを再認識したことは、本番に向けて明るい材料となりそうです。