アメリカ財務省 日本を為替操作「監視リスト」対象に再指定

アメリカ財務省は各国の通貨政策を分析する報告書を公表し、通貨を意図的に誘導する為替操作を行っていないかなどをチェックする「監視リスト」の対象に再び日本を加えました。

アメリカ財務省は20日、貿易相手国の通貨政策などを分析する半年に1度の報告書を議会に提出し、その内容を公表しました。

この中で通貨を意図的に誘導する為替操作を行っていないかや、マクロ経済政策をチェックする「監視リスト」の対象に日本を指定しました。

「監視リスト」は、大幅な対米貿易黒字や、多額の経常黒字、それに為替介入を継続的かつ一方的に行っているという、3つの基準のうち2つに該当する国と地域が指定されます。

今回、日本は、大幅な対米貿易黒字と、多額の経常黒字という、2つの基準に該当したとしています。

日本は去年、円安やエネルギー価格の高騰などで経常黒字が大幅に減少したことで、「監視リスト」の指定が始まった2016年以来初めて除外されていました。

一方、日本の財務省は歴史的な円安局面が続いたことし4月から先月にかけて、政府・日銀が9兆円規模の市場介入を実施したと発表していますが、アメリカ財務省は、日本はその内容を定期的に公表していて透明性が確保されていると指摘しています。

ただ、為替介入については今回の報告書でも「適切な事前協議のもと、極めて例外的な状況に限定されるべきだ」とする立場を強調しています。

神田財務官「為替政策の透明性 ポジティブに評価している」

財務省の神田財務官は21日、記者団に対し「経常黒字やアメリカに対する貿易黒字を機械的な基準に照らして評価するもので、リストに入ったら為替政策を問題視するということではない。日本の為替政策の透明性をポジティブに評価している」と述べました。

林官房長官「各国の通貨当局と意思疎通図りたい」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「経常黒字額などを一定の基準値に照らして、機械的に評価しているもので、アメリカが日本の為替政策を問題視していることを意味するものではないと理解している」と述べました。

その上で「為替政策については、過度な変動や無秩序な動きは、経済や金融の安定に悪影響を与えうるという考え方を踏まえ、引き続きアメリカをはじめとする各国の通貨当局と緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べました。

鈴木財務相「米が日本の為替政策問題視と意味するものではない」

鈴木財務大臣は、21日の閣議のあとの記者会見で「監視リストについては、一定の基準値に照らして機械的に評価した結果であり、アメリカが日本の為替政策を問題視していることを意味するものではないと理解をしている」と述べました。そのうえで「過度な変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与えうるといったG7などで合意された考え方を踏まえ、引き続き米国をはじめとする各国通貨当局との間で緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べました。