イスラエル軍報道官 “ハマス壊滅は不可能” 政権と軍が緊張か

イスラエル軍の報道官が地元テレビのインタビューでイスラム組織ハマスについて「ハマスは思想であり、完全に排除できると考える人は間違っている」などと述べ、壊滅は不可能だという認識を示しました。これに対し、イスラエル首相府は軍は政府の方針に従うべきだとする声明を発表し、地元メディアはネタニヤフ政権と軍との間で緊張が生じていると伝えています。

イスラエル軍のハガリ報道官は19日、地元テレビのインタビューで「ハマスを壊滅、消滅させるという任務は人々に真実を見えなくさせる。ハマスは人々の心に根づいた思想であり、ハマスを完全に排除できると考える人は間違っている」などと述べ、ハマスの壊滅は不可能だという認識を示しました。

また、ハガリ報道官は「すべての人質を軍事作戦で取り戻すことは不可能で、ほかに帰還させるシナリオを見つけなければならない」とも述べたということです。

これに対して首相府は声明を発表し「ネタニヤフ政権は戦争の目的の1つにハマスの軍事力、統治能力を破壊することを掲げている。それに従うことが軍の義務だ」として強い不快感を示しました。

イスラエルの有力メディア、ハーレツなどはネタニヤフ政権と軍との間で緊張が生じていると伝えています。

ガザ地区での戦闘が長期化する中、イスラエル国内では軍事作戦の重要な意思決定をしてきた戦時内閣が中道派のガンツ前国防相の離脱に伴って解散されるなど不協和音が広がっています。