盗撮 児童ポルノ画像 検察が押収データ消去可能に 制度始まる

盗撮などの被害者が抱える不安に対応する新たな制度が、20日から始まります。盗撮や児童ポルノの画像データなどを、事件化されるかどうかにかかわらず、検察が行政処分として消去できるようになりました。

法務省によりますと、これまでは捜査で押収された盗撮や児童ポルノの画像データを記録した媒体は、所有者が有罪にならないかぎり没収できず、事件化されなかった場合は、捜査機関が所有者に任意のデータ消去を求めていました。

しかし、所有者が消去に応じず違法性のある画像データがそのまま返還されるケースもあり、被害者などから拡散や2次被害を懸念する声があがっていました。

20日に始まった新たな制度は去年成立した盗撮を取り締まる法律に基づくもので、盗撮や児童ポルノ、リベンジポルノにあたる違法性のあるデータなどを押収した際には、事件化されていなくても検察官が行政処分として消去したり廃棄したりできるようになります。

また、クラウドなど外部のサーバーにあるデータも所有者に消去を命じることができます。

一緒に保存されていた関係ないデータについては、所有者が求めればコピーを交付します。

元検事「盗撮画像の拡散防止で大きな意義」

元検事で、盗撮事件などの捜査経験がある高橋麻理弁護士は、これまでの制度の課題について「起訴されない場合などでは、持ち主が所有権を放棄しないかぎり問題のある画像を返さなくてはならなかった。SNSなどで広く拡散されるリスクが身近にある中、盗撮などの被害者が抱える不安にきちんと対応できる制度設計になっていなかった」と述べました。

そのうえで、新たな制度について「所有者を起訴しない場合でも検察官の行政処分として消去できるようになったのが大きい。これまで返却せざるを得なかったものも消去できるようになるため、盗撮画像などの拡散を防止でき、大きな意義がある」と期待を示しました。

また、一緒に保存されていた関係ないデータのコピーを所有者に交付する手続きについて「膨大なデータを選り分けるのは、現実問題として難しいところがあるが、こうした手続きがきちんと保障されるか注視する必要がある」と指摘しました。