野党党首が解散・総辞職を要求 岸田首相は結果出すと強調

会期末が迫る中、国会では3年ぶり、岸田内閣としては初めてとなる党首討論が行われました。
野党の党首が政治とカネの問題などをめぐる対応を批判し、衆議院の解散や内閣総辞職を求めたのに対し、岸田総理大臣は、政治の信頼回復に努め、先送りできない課題に取り組み結果を出していくと強調しました。

立民 泉代表 政治改革めぐり批判「抵抗勢力は自民党」

立憲民主党の泉代表は、政治改革をめぐり「政治資金規正法の改正案が可決されたが、企業・団体献金はやめず、政治資金パーティーもほぼそのままだ。国民は全く納得しない。抵抗勢力は自民党で本当にけしからん」と批判しました。

岸田首相「現実を見ない案であってはならない」と反論

岸田総理大臣は「『禁止、禁止、禁止』と言うのは気持ちがいいかもしれないが、政治資金は民主主義を支える重要な要素だ。現実的に考える、責任ある姿勢が大事で、すべてを禁止して、現実を見ない案であってはならない」と反論しました。

憲法改正をめぐり

一方で、岸田総理大臣は憲法改正をめぐり「憲法審査会で議論しても起案にたどりついていない。あすは憲法審査会の定例日だ。具体的な条文の起案について議論を始めるよう協力をお願いしたい」と述べました。

泉代表は「われわれはずっと審議に応じているし、真摯(しんし)に議論している。論点があるのに、それをすっ飛ばして何をするというのか。論点を1つ1つ国会のルールの中で議論する」と述べました。

衆議院の解散について

泉代表は「自民党の政治とカネの問題で、自身については、国民に判断してもらうと言ったがその時が来ているのではないか。衆議院を解散して政治資金規正法の改正内容がいいのか悪いのか、国民に信を問おうではないか」と求めました。

岸田総理大臣は「政治姿勢も含め信頼回復に向け引き続き努力し経済をはじめ先送りできない課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければならない。これが今の私の立場で、それ以外のことは考えていない」と述べました。

維新 馬場代表 調査研究広報滞在費の公開「本気なら会期延長を」

日本維新の会の馬場代表は国会議員に支給される「調査研究広報滞在費」の使いみちの公開などをめぐり「本気でやる気があれば、会期を延長すればいいではないか。なぜやらないのか。重要だと思っていないからではないか」とただしました。

岸田首相「ぜひ議論を進めることに同意を」

岸田総理大臣は「2年間滞っていた議論を馬場代表との合意で動かした。いまスタートしているので、ぜひ議論を進めることに同意をいただきたい」と述べました。

政権運営について

馬場代表は岸田総理大臣の政権運営について「ガバナンスが全くきいておらず自民党議員からも不平不満だらけで万策尽きている。あしたあさってにも、内閣総辞職をして責任を持って仕事ができる人にバトンを渡すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は「退陣のご要望だが、いま先送りできない課題に専念することに全力を注いでいく。結果を出すことに全力を挙げていく」と述べました。

共産 田村委員長 選択的夫婦別姓 導入めぐり批判

共産党の田村委員長は「選択的夫婦別姓」の導入をめぐって「岸田総理は『家族の一体感』を考慮する必要があると言うが、事実婚の家族は存在していて家族の一体感の問題という捉え方自体が特定の価値観の押しつけだ」と批判しました。

岸田首相「世論調査見ても意見分かれている」

岸田総理大臣は「一定の価値観に基づいて判断していることはない。世論調査を見ても、意見が分かれているのはさまざまな価値観や立場の方々がこの問題について影響を感じているからだと思っている」と述べました。

国民 玉木代表「岸田総理は四面楚歌ではないか 辞職を」

国民民主党の玉木代表は「岸田総理は四面楚歌ではないか。国民の信頼も地に落ち、四面楚歌、八方塞がりだ。政治の信頼を回復するために今一番やらないといけないのは潔く職を辞して責任を果たすことだ」と求めました。

岸田首相「四面楚歌だとは感じてない あらゆる課題に結論出す」

岸田総理大臣は「四面楚歌だとは感じていない。批判が出るなかでも、やるべきことをやるのが政治家の責任だ。あらゆる課題に結論を出す強い覚悟を持って、これからも臨んでいきたい」と述べました。

自民 渡海政調会長「政策のぶつかり合いあってもよかった」

今回の党首討論について、自民党の渡海政務調査会長は記者団に対し「政局的な発言ばかりではなく、この国をどうするのかなど政策のぶつかり合いがあってもよかったのではないか。政策をぶつけ合い、国がどういう状況にあり、何をやろうとしているのかがもう少し深まる機会になればいい」と述べました。

公明 山口代表「課題に与党としてしっかり臨む」

公明党の山口代表は記者団に対し「時間が短くかみ合わない部分もあったので、充実した討論のあり方を今後、期待したい。岸田総理大臣は先送りできない課題に責任を持つと話していたので、与党としてしっかり臨んでいく」と述べました。

一方、憲法改正については「国民に共通する大きな課題だが今は政治不信を取り除く与野党の営みが重要だ。各種の世論調査では経済や社会保障などに関心は高いが、憲法改正は最低レベルの関心しかなく、真摯に議論を深めることが重要だ」と述べました。

立民 泉代表「岸田首相は解散について逃げの姿勢だった」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「岸田総理大臣は、いつも通りにのらりくらりで、何の政治決断も伴わない答弁だった。独自性を出せない印象を受け、党内基盤が弱まっているのではないか。衆議院の解散については、逃げの姿勢だった」と述べました。

また、党首討論で岸田総理大臣から憲法改正の議論を進めるよう求められたことについて「唐突で、国会対策委員長かという質問だった。あくまで与野党の筆頭幹事が話し合って決めていくことだ。党としてはこれまでも真摯に憲法審査会の議論を続け、妨害しているということはない。与野党の合意をつくることが与党の責任だ」と述べました。

維新 馬場代表「辞任して新しい人にバトンを」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で「岸田総理大臣は、みずからのリーダーシップや、自民党内のガバナンスが全くダメになっていることをわかっていない。政治資金規正法の改正では、自民党からの頼みを受けて、くもの糸を垂らしたが、それを切った自覚もない。レームダックとなり四面楚歌で打つ手がなくなっている。辞任して新しい人にバトンを渡してもらいたい」と述べました。

また、党首討論で岸田総理大臣から憲法改正の議論を進めるよう求められたことについて「その部分は岸田総理大臣が言っていることが合っている。一刻も早く条文化していく段階に入っており、立憲民主党の合意が取れなくても前に進めていくべきだ」と述べました。

共産 田村委員長「責任や覚悟持った発言なし」

共産党の田村委員長は記者会見で「岸田総理大臣はあらゆる課題についてじょう舌に話すが、責任や覚悟を持った発言はなく、あまりにみっともない姿勢が示されていた。今の日本にある行き詰まりや苦しみを、わがこととして受け止め、総理大臣としてどうするかという姿勢に決定的に欠けている」と述べました。

国民 玉木代表「潔く職を辞してリーダーとしての責任を」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「岸田総理大臣は、四面楚歌ではないと感じていて鈍感力がすごい。トップとして責任を取っていないことが、すべての政治不信の源で、憲法改正を含むさまざまな重要課題を前に進めることができない障害になっている。今の日本の政治の状況は極めて危機的であり、潔く職を辞して、リーダーとしての責任を果たしてもらいたい」と述べました。

林官房長官「熱意ある議論行われた」

林官房長官は午後の記者会見で「政府の立場から個々の議論の内容を評価することは控えるが、政治改革や経済政策、憲法改正などさまざまな課題について熱意ある議論が行われたと受けとめている」と述べました。