農林中金 来年3月期の最終赤字 1兆5000億円規模に拡大の可能性

農林中央金庫は、外国債券の運用の失敗で巨額の損失の計上を迫られる見通しで、来年3月期の最終赤字が1兆5000億円規模に拡大する可能性があると明らかにしました。リーマンショックの影響で2009年3月期に計上した最終赤字を大幅に上回る見通しです。

農林中央金庫は、アメリカ国債など外国債券の運用の失敗で多額の含み損を抱え、これを処理するのに伴い、来年3月期の最終赤字が5000億円規模に陥る見通しになったとして、1兆2000億円規模の資本増強を検討していることを先月発表しました。

農林中金はその後、運用する金融商品の入れ替えを検討した結果、金利が高止まりしている外国債券の含み損を実際の損失として確定させることを決め、今年度中に合わせて10兆円規模の外国債券を売却する方針です。

これに伴い、来年3月期の最終赤字は当初見込んでいた5000億円から1兆5000億円規模に拡大する可能性があるとしています。

農林中金はリーマンショックによって保有する金融商品が値下がりした影響で、2009年3月期の決算で5700億円余りの最終赤字に陥りました。

このときには1兆9000億円に上る資本増強を余儀なくされ、当時の理事長が引責辞任する事態となりました。

今回はこのときを大幅に上回る損失を計上する見通しとなり、経営陣の責任がどのように問われるのかも焦点となります。

林官房長官「系統金融機関に与える影響なども十分に注視」

林官房長官は、午前の記者会見で「農林中央金庫は、令和5年度の決算で十分な自己資本があり、財務の健全性は確保されている」と述べました。

そのうえで「農林中金は、資金の運用収益を還元し、系統金融機関の経営基盤の強化や金融の円滑化を図ることで、農林水産業の発展に寄与することなどが目的だ。政府としては金融市場の動向などを踏まえ、経営が系統金融機関に与える影響なども十分に注視していく」と述べました。