能登半島地震 災害関連死を新たに答申 熊本地震を上回る見通し

能登半島地震のあと避難生活などの中で亡くなった人を災害関連死と認定するか判断するための2回目の審査会が開かれ、22人を認定するよう答申が出されました。正式に認定されれば、能登半島地震の死者は282人となり、276人が亡くなった2016年の熊本地震を上回る見通しになりました。

能登半島地震の災害関連死の認定について、石川県では、市や町が遺族からの申請を受けたうえで、県が選定した医師と弁護士、あわせて5人による審査会を開いて判断することになっています。

県によりますと、18日開かれた2回目の審査会で、輪島市と七尾市のあわせて22人を災害関連死と認定するよう答申が出されました。

内訳は、▼輪島市が19人、▼七尾市が3人です。

このあと正式に認定されれば、能登半島地震の死者は282人となり、276人が亡くなった2016年の熊本地震を上回る見通しになりました。

災害関連死の認定を求める遺族からの申請について、NHKが石川県内の自治体に取材したところ、すでに正式に認定されている30人も含めると、これまでに少なくとも172人にのぼっています。

自治体別では、▼輪島市が79人、▼能登町が30人、▼七尾市が25人、▼珠洲市が19人、▼志賀町が10人、▼穴水町が7人、▼羽咋市と▼白山市がそれぞれ1人です。

今後、審査が進むと、能登半島地震による死者はさらに増える可能性があります。

被災地で保健指導行う医師”今後も災害関連死増える可能性ある”

能登半島地震の被災地で保健指導を行っている金沢医科大学氷見市民病院の小畑貴司医師は今後も災害関連死が増える可能性があるとして、注意が必要だと指摘しています。

災害関連死も含めた能登半島地震の死者数が熊本地震を上回る見通しとなったことについて、小畑医師は、「断水が長く続いたり農業用ハウスで生活したりするなど避難の環境がかなり厳しかった。こうした状況が災害関連死につながっていくのではないか」と述べ、今後も増えていく可能性があると指摘しました。

そのうえで、「仮設住宅に入り、周囲とのコミュニケーションが減ると外出の機会が減る。これまでの生活になかった胸の痛みや足のむくみといった症状に気をつけることが重要だ」と述べ、エコノミークラス症候群のほか、熱中症や食中毒にも注意する必要があると指摘しています。