特例を盛り込んだ地方自治法の改正案 参院総務委で可決

感染症や災害など重大な事態が発生した場合に、国が自治体に必要な指示ができる特例を盛り込んだ地方自治法の改正案が、参議院総務委員会で賛成多数で可決されました。今の国会で成立する見通しです。

地方自治法の改正案は、感染症のまん延や大規模な災害など、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生した場合に、個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示ができる特例を盛り込んでいます。

また、指示を行う際は、あらかじめ自治体から意見を聞く努力をしなければならないとしています。

さらに、国の指示が適切だったか検証するため、国会への事後報告を義務づける規定も盛り込まれました。

参議院総務委員会では採決に先立って討論が行われ、日本維新の会の高木かおり氏は、賛成の立場から「現行法に定めがない状況では、国も自治体も手探りでの対策を強いられることも想定され、改正案は、そのような場面で国と地方の権限の明確化につながる」と述べました。

立憲民主党の小沢雅仁氏は、反対の立場から「国が指揮権を発動する要件が極めてあいまいで、発動の手続きも閣議決定のみだ。国による乱用が懸念され、自治体への不当な介入が誘発されるおそれが高い」と述べました。

このあと採決が行われ、改正案は、自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決されました。

立憲民主党と共産党などは反対しました。

また委員会では、国が指示する事態について自治体との間で認識や対応に違いが出ないように、判断のあり方を周知することなどを求める付帯決議も可決されました。

改正案は、19日にも開かれる参議院本会議で可決・成立する見通しです。