中国海警局“フィリピン船が故意に接近しこすり傷” 南シナ海

中国海警局はフィリピンと領有権を争う南シナ海で、フィリピン当局の運搬船が故意に接近して海警局側の船に衝突し、船体にこすり傷ができたと発表しました。一方、フィリピン側は中国側が主権を侵害したと非難しています。

南シナ海のフィリピンが実効支配するセカンド・トーマス礁の海域で、中国海警局は17日、フィリピン当局の運搬船が不法に侵入したため、取締りを行ったと発表しました。

海警局によりますと、その際に中国側の警告を無視して運搬船が海警局の船に故意に接近して衝突したためにこすり傷ができたとしていて、海警局は「責任はすべてフィリピン側にある」と主張しています。

また、中国外務省は17日の会見で「彼らは建築資材などを輸送しようとしていた」と指摘しました。

これに対し、フィリピン軍は「フィリピンの排他的経済水域の内側で中国船がわれわれの主権を侵害した。中国海警局の攻撃的な行動が、地域の緊張を高めている」と非難しました。

セカンド・トーマス礁でフィリピン軍は座礁させた軍艦を拠点にして、運搬船で物資を補給していますが、ことしに入って中国海警局の船による放水銃の発射で運搬船の乗組員にけが人が出るなど、対立が深まっていて、事態がさらにエスカレートしないか懸念が強まっています。