“事件加害者の仮釈放理由を被害者側にも” 遺族が意見書

事件の加害者について仮釈放を許可した理由などが被害者側に伝えられないのはおかしいとして、11年前に三重県で起きた少年事件で娘を亡くした父親が、改善を求める意見書を17日に法務大臣に提出しました。

意見書を提出したのは、2013年に三重県朝日町で、当時、高校生の元少年から暴行を受けて死亡した寺輪博美さん(当時15)の父親の寺輪悟さんです。

寺輪さんは、事件の加害者について地方更生保護委員会が仮釈放を許可するか判断した際、その理由を被害者側にも伝えることなどを求めています。

更生保護法では、仮釈放の判断にあたって被害者側が意見を述べられる制度があり、寺輪さんは反対の意見を伝えてきましたが、元少年は去年、仮釈放され、すでに刑期を終えたということです。

意見書では「結論に至った理由が示されなければ、被害者の意見がどのように考慮され、加害者にどのような変化があったのか、まったくわからない」としています。

また、仮釈放中の居住地が、遺族の自宅などの近くに設定される場合もあり、詳しい理由が示されないと不安だとしています。

寺輪悟さんは「被害者や遺族には、加害者のことをできるかぎり知る権利があると思うので、もう少し私たちに寄り添った制度になってほしい」と話していました。

法務省は「仮釈放の可否や住所が設定された理由は、個人情報を含むさまざまな事情を総合的に考慮しており、明かすことは難しいが、今後、被害者や遺族のため何ができるか考えていきたい」としています。