ゼレンスキー大統領「平和サミット」を“平和構築プロセスに”

ウクライナが提唱する和平案の実現に向けて、首脳級などが話し合う国際会議が始まるのを前に、ウクライナのゼレンスキー大統領は「合意されることのすべてが、平和を構築するプロセスの一部となる」と述べ、会議を通して和平案の実現に弾みをつけたいという考えを強調しました。

ウクライナが提唱する和平案の実現に向けた国際会議「平和サミット」が始まるのを前にスイス中部のビュルゲンシュトックの会場にはアメリカのハリス副大統領など、参加者が次々と到着しました。

会議に先立ってスイスのアムヘルト大統領と共同記者発表を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は「今回合意されることのすべてが、私たちが必要とする平和を構築するプロセスの一部となる」と述べ、会議を通して和平案の実現に弾みをつけたいという考えを強調しました。

スイス政府によりますと、会議には100の国や国際機関が参加するということですが、ロシアや中国などは含まれていません。

ロシアのプーチン大統領は前日の14日、ロシアが和平交渉を始める条件だとする自身の提案を一方的に示し、欧米側を揺さぶるねらいとみられます。

こうしたロシアの動きに対してゼレンスキー大統領は、会議には、欧米側だけでなくグローバル・サウスと呼ばれる新興国も含めて多くの国などが参加して結束を示すことができたと強調することで、ロシアへの圧力につなげたい考えです。

“ウクライナ平和サミット” 15日から 国際社会の結束強調か

ウクライナが提唱する和平案の実現に向けて首脳級などが話し合う国際会議が15日からスイスで始まり、ウクライナとしては、国際社会の結束を強調し、ロシアへの圧力につなげたい考えです。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは東部や南部で、両軍の激しい攻防が続いていて、このうちウクライナ軍は15日、特にロシアと国境を接する東部ハルキウ州など3つの州で一日に29回の攻撃があり、少なくとも市民1人が死亡し10人がけがをしたと発表しました。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、14日の衛星画像をもとにロシア南部ロストフ州にある航空基地がウクライナ側の無人機攻撃をうけて損害が出ていると分析しています。

こうした中、ウクライナが提唱する和平案の実現に向けた国際会議「平和サミット」が15日からスイスで始まるのにあわせ、ゼレンスキー大統領は14日、現地に到着しました。

「原発の安全確保」「食料安全保障」など3項目を議論へ

NHKが入手した会議の共同声明案によりますと、ウクライナが提唱する10項目の和平案のうち今回は「原発の安全確保」と「食料安全保障」などの3つの項目に絞って議論されることになっています。

一方、ウクライナが訴え続けている「ロシア軍の撤退」や「領土の回復」といった項目には触れられておらず、ロシアとの関係も重視する一部の参加国に配慮したとみられています。

ウクライナとしては、欧米側だけでなくグローバル・サウスと呼ばれる新興国も含め多くの国が参加する見通しの会議で共同声明を採択して結束を強調し、軍事侵攻を続けるロシアへの圧力につなげたい考えです。