クロマグロ 自然の環境で産卵の撮影に成功 水産庁の調査船

南西諸島周辺の海でクロマグロが産卵している様子を、水産庁の漁業調査船が撮影することに成功しました。自然の環境でクロマグロの産卵が撮影されるのは珍しいということで、水産庁では今後、マグロの生態解明や資源保護などの研究につなげたいとしています。

映像は、クロマグロの資源量の調査を行っていた水産庁の漁業調査船「開洋丸」が撮影しました。

水産庁によりますと、6月4日午後6時すぎに南西諸島周辺の海域で、産卵行動をとっている大きな魚の群れを発見し、撮影したということで、その後、複数の専門家が映像を確認して、色やヒレの形などからクロマグロだと判断したということです。

映像は船から撮影されたもので、海面付近を1匹のメスのクロマグロが丸い弧を描くように素早く泳ぎ、その後ろを数匹のオスが列になって、追いかけながら産卵する様子が映っています。

付近の海水からは直径1ミリほどの受精卵が採取されたということで、今後、遺伝子の解析などを行うということです。

クロマグロの産卵は通常、日没後とされていますが、今回は日没前のまだ明るい時間帯だったということで、水産庁によりますと、自然の環境下でクロマグロが産卵する様子が撮影されたのは世界的にも珍しいということです。

水産庁研究指導課の田中庸介研究管理官は「非常に貴重な映像なので、今後、クロマグロの生態解明や資源の管理などの研究に役立てていきたい」と話していました。