ことし1年間の出生数 70万人下回る推計 大手シンクタンク

ことし1年間に生まれる日本人の子どもの数を示す「出生数」について、大手シンクタンク「日本総研」は、統計開始以降初めて70万人を下回るとする推計をまとめました。ことし70万人を下回れば、国の予測より14年早く、想定以上に早いペースで少子化が進んでいることになります。

日本総合研究所は、厚生労働省が公表している出生数の速報値を元に、ことし1年間の出生数を推計しました。

それによりますと、ことしの日本人の出生数は全国で多くてもおよそ69万8000人で、国が統計を取り始めて以降初めて70万人を下回るとする統計をまとめました。

国立社会保障・人口問題研究所の予測では、出生数が70万人を下回るのは14年後の2038年となっていて、ことし70万人を下回れば、国の想定よりも早いペースで少子化が進んでいることになります。

推計を行った日本総合研究所の藤波匠上席主任研究員は、「若い世代の人口の減少や、結婚や出産を必ずしもしなくてもよいとする価値観の変化に加えて、コロナ禍に出会いがなく結婚する人が大きく減った影響が続いている」と分析しています。

そのうえで「若い世代の賃上げをして実質賃金をプラスにするほか、共働きの世帯で女性に育児負担が偏らないよう、家庭の中での役割分担や企業内での待遇面を男女平等にしていくことも必要だと思う」と話していました。