栃木 那須町 夫婦遺体事件 娘の内縁夫ら2人 殺人容疑で再逮捕

栃木県那須町で夫婦の遺体が見つかった事件で、警視庁は首謀者とみられる被害者の娘の内縁の夫ら2人を殺人の疑いで再逮捕しました。多数の店舗を経営していた被害者夫婦と内縁の夫との間で、経営方針をめぐる確執があったとみて調べています。

再逮捕されたのは被害者夫婦の長女の内縁の夫、関根誠端容疑者(32)と不動産会社役員の前田亮容疑者(36)です。

この事件はことし4月、栃木県那須町で会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻の宝島幸子さん(56)が遺体で見つかったもので、これまでに首謀者とみられる関根容疑者を含む6人が死体遺棄と損壊の罪で起訴され、警視庁は、このうち「指示役」と「仲介役」「実行役」の合わせて4人を先月、殺人の疑いで再逮捕していました。

その後の調べで指示役の佐々木光容疑者(28)が「関根容疑者から1500万円の報酬で殺害と遺体の処理を頼まれた」と供述したことなどから捜査を進めた結果、関根容疑者に加え、夫婦を現場の空き家に案内した前田容疑者も殺害に関わった疑いがあることがわかったということです。

捜査関係者によりますと、夫婦の体からは睡眠薬の成分が検出されていて、空き家に向かう前に何らかの方法で飲まされた疑いがあるということです。

関根容疑者は、上野周辺で多数の飲食店を経営していた宝島さんの会社のマネージャーを務めていましたが、店舗展開や従業員の配置などで意見の食い違いが大きかったということで、警視庁は経営方針をめぐる確執が事件の背景にあるとみて全容の解明を進めています。

事件の構図と容疑者の役割

これまでの捜査で明らかになったのは、希薄な関係性の中でも容疑者らが報酬を目当てに、次々に事件に関与したとみられる実態です。

関根誠端容疑者は、被害者夫婦の長女の内縁の夫で、事件を計画した首謀者とみられています。
上野周辺で多数の飲食店を経営していた宝島さんの会社でマネージャーを務め、一部の店舗の運営を任されていましたが、警視庁は経営方針をめぐって夫婦と対立し不満を募らせたとみています。

「指示役」の佐々木光容疑者は、ことし2月に福岡から上京し、上野の繁華街で客引きをしていたときに、関根容疑者と知り合い、4月初旬に夫婦の殺害や遺体を処理する「実行役」を探すよう依頼されたとみられています。
事件に関わった経緯については「関根容疑者は威圧感があり、同業者が頭を下げるのを見て、上野界わいですごく力のある人だと思った。上野で仕事をしていくうえで断りきれなかった」などと供述しているということです。

「仲介役」の平山綾拳容疑者は、佐々木容疑者の指示を受けて、実行役の2人を手配したとみられています。
調べに対して「殺害方法は実行役と相談して決めた」と供述していて、事前に、電気コードや粘着テープやガソリンなどを購入したり、遺体の運搬に使う車を貸したりしていました。

「実行役」の姜光紀容疑者と若山耀人容疑者は、事件の数か月前に渋谷のクラブで知り合った平山容疑者から打診され、首を絞めるなどして夫婦を殺害し、遺体を那須町まで運んだうえで火をつけたとみられています。
平山容疑者はこの2人を手配した理由について「けんかっ早く、怖いもの知らずの雰囲気があったので頼んだ」と供述しているということです。
殺害を打診した際、姜容疑者はすぐに応じた一方で、若山容疑者は「考えさせてください」とちゅうちょしたものの、平山容疑者が「いま決めてくれ」と言うと、「やります」と答えたということです。

不動産会社役員の前田亮容疑者は、不動産の売買などをめぐり夫婦や関根容疑者と面識があったということです。
仕事を通じて関根容疑者と関係を深めて事件に関与したとみられ、警視庁は、自身の会社が管理していた物件を見に行く名目で夫婦を空き家まで誘導したとみています。

それぞれの報酬額については、容疑者の間で一部食い違いもみられますが、関根容疑者が用意した報酬はおよそ1500万円とみられ、このうち500万円が姜容疑者ら実行役2人に渡されたとみられます。

一方、佐々木容疑者は「100万円を受け取った」と供述しているほか、平山容疑者の関係先からはおよそ700万円が押収されているということです。