“妻を労災で亡くした男性にも制限なく遺族年金を”国争う姿勢

労災で妻を亡くした男性が、法律の規定により遺族補償年金を受けられないのは不当だとして国を訴えた裁判が始まりました。規定では、残された家族が妻の場合は年齢制限がありませんが、夫の場合は54歳以下だと支給を受けられないため、男性は「不当な差別だ」と訴えていて、これに対し国は争う姿勢を示しました。

東京都に住む54歳の男性は5年前の2019年に団体職員だった妻を亡くし、長時間労働などが原因だったとして労災に認定されましたが、男性が国に遺族補償年金を申請したところ、認められませんでした。

労災保険法では、残された家族が妻の場合は年齢に関係なく遺族補償年金を受けることができますが、夫の場合、妻が死亡した時に54歳以下だと受けることができないとされていて、男性はこうした規定は不当な差別で憲法違反だとして国に処分の取り消しを求めています。

13日、東京地方裁判所で裁判が始まり、原告の男性が意見陳述を行いました。

男性は「収入は妻の方が高く、亡くなってから家計は厳しくなった。法律の規定は男性だけが働き、女性は家を守るという考えを前提にしていて憲法に違反している」と訴えました。

一方、国側は訴えを退けるよう求め、争う姿勢を示しましたが、詳しい主張については「追って明らかにする」としました。