衆院憲法審査会 自民 緊急事態での議員任期延長で条文案作成を

衆議院憲法審査会で、自民党は、大規模災害など緊急事態での国会議員の任期延長についてこれまでの論点を整理した案を示し、憲法改正の条文案の作成に入りたいと提案しました。これに対し立憲民主党は、憲法を改正しなくても対応できる方策を検討すべきだと主張しました。

13日に開かれた衆議院憲法審査会で、与党側の筆頭幹事を務める自民党の中谷元防衛大臣は緊急事態での国会議員の任期延長についてこれまでの論点を整理した案を示しました。

この中では、大規模な自然災害や感染症のまん延などで広い地域で70日を超えて選挙の実施が困難な場合には6か月を上限に「選挙困難事態」と認定して国会議員の任期を延長し、最大で通算1年まで延長できるとしています。

中谷氏は「今後、これをもとに条文化を進めたい。審査会で憲法改正の原案を作り国会に提出して3分の2以上の賛成をもらう必要がある」と述べ、各党に協力を呼びかけました。

その上で、今月23日の会期末で今の国会が閉会したあとも閉会中審査を行うべきだという考えを示しました。

これに対し野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の逢坂代表代行は「災害に強い選挙の確立については総務大臣や政治改革特別委員長に、また国会機能の維持・強化については議院運営委員長に検討をお願いすべきであり、今後、議論を深めたい」と述べ憲法を改正しなくても対応できる方策を検討すべきだと主張しました。

与党側筆頭幹事 自民 中谷元防衛相「閉会中審査 全党で議論を」

衆議院憲法審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党の中谷・元防衛大臣は記者団に対し「閉会中審査を行う必要があり、立憲民主党と共産党にも参画してもらい、全党で議論することが大切だ。とことん議論を尽くして結論を得ていくのが国会であり、一歩一歩でも前向きに進めていきたい」と述べました。

また、岸田総理大臣が自民党総裁としての任期中に憲法改正を実現したいとしていることについて「岸田総理大臣自身は強い意欲を持っており、党として総力を挙げて推進していきたい」と述べました。

野党側筆頭幹事 立民 逢坂代表代行「憲法改正が目的化している」

衆議院憲法審査会の野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の逢坂代表代行は、審査会のあと記者団に対し「憲法改正に向けた条文化の作業は、与党の中でも衆参両院で考えが違っていて、今の段階でできる状況にはない。国民投票を行うための法制上の準備など基本的な条件整備もできていないのに条文化を急いでいて、憲法改正が目的化している」と述べました。

また、今の国会が閉会したあとの審査会の開催について「与党側から提案があれば、筆頭幹事どうしで協議するが、閉会中もそれぞれの議員は忙しい。閉会中審査を継続して行うことは、あまり現実的ではない」と述べました。