石川 奥能登「公費解体」事務の応援職員 要望数より大幅に不足

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の奥能登地域の自治体で、壊れた建物の「公費解体」の事務にあたる応援の職員が、国に要望した人数より大幅に不足していることが各自治体への取材でわかりました。公費解体の業務に影響が出ているという自治体もあり、中長期的な支援が課題となっています。

能登半島地震の被災地で建物の解体や撤去を行政が費用を負担して行う「公費解体」では、地元の自治体が被災者からの申請を受け付けて発注していますが、事務作業が膨大になるため全国の自治体から事務にあたる応援の職員が派遣されています。

しかし、被害が大きかった奥能登地域の自治体では、公費解体の事務にあたる中長期の応援職員が、県を通じて総務省に要望した人数と比べ、大幅に不足していることが各自治体への取材でわかりました。

自治体ごとに見ますと、公費解体の事務にあたる応援の職員は、12日の時点で、
▽輪島市が20人の要望に対して11人
▽珠洲市が19人の要望に対して11人
▽能登町が10人の要望に対して4人となっていて、
▽穴水町も6人の要望に対して5人と
足りていない状況です。

このうち輪島市では、職員が不足しているため、市役所と2つの支所にある公費解体の申請窓口のブースの数を6月から減らしたほか、業者との調整など事務作業にも影響が出ているということです。

また、珠洲市では、市の職員が時間外勤務をするなどして対応しているものの、申請の処理に時間がかかっているということです。

石川県によりますと、ほかの自治体も余剰人員は少なく、応援を打診しても十分に確保できないということで、被災自治体への中長期的な支援が課題となっています。

応援職員 今西さん「少しでも輪島市の役に」

輪島市に派遣されている三重県松阪市の職員、今西隆文さんはことし3月に短期の応援で派遣された際に公費解体の手続きを学び、4月からは中長期の応援として被災者から申請の受け付けや解体業者との調整などにあたっています。

12日も輪島市役所には多くの人が申請に訪れ、今西さんは窓口のブースで対応にあたっていました。

今西さんは「中長期の応援で少しでも輪島市の役に立ちたい」と話していました。

一方、応援を受けている輪島市環境対策課の友延和義課長は「これから公費解体が増える中、応援職員の拡充を要望していますが簡単には増えません。全国の自治体に少人数でもいいので長く支援してもらいたい」と話していました。