東京都知事選挙 小池知事 3期目を目指し立候補の意向を表明

東京都の小池知事は来月投票が行われる都知事選挙に、3期目を目指して立候補する意向を表明しました。

都議会定例会の最終日の12日、小池知事は本会議に出席しました。この中で小池知事は「都知事を務めて2期8年、新型コロナウイルスとの闘いや東京オリンピック・パラリンピックの開催など歴史に残る数々の都政に全身全霊をかけて取り組み続けた。さまざまな分野で東京に確実な変化をもたらしている」と述べました。

その上で「少子高齢化や人口減少、自然災害など、総力を挙げて取り組むべき課題がまだ山積している。都民のためもっと東京をよくしていきたい。その覚悟をもって都知事選挙への出馬を決意した」と述べ、来月投票が行われる都知事選挙に、3期目を目指して立候補する意向を表明しました。

小池氏は無所属で立候補する方針で、記者団に対し「公約をまとめ近いうちにお伝えする」と述べました。

小池氏は兵庫県出身で71歳。民放のニュースキャスターなどを経て、1992年の参議院選挙に当時の日本新党から立候補して初当選しました。

その後、衆議院議員に転じて8期連続務めたあと、舛添前知事の辞職に伴って行われた8年前・2016年の都知事選挙で初当選し、現在は2期目を務めています。

《告示まで8日 都庁クラブ記者が解説》

Q.小池知事が、このタイミングで、立候補を表明した狙いは。
A.本格的な選挙戦に向けた駆け引きの一環とみられます。前回、4年前の選挙の際は、新型コロナの感染対策に取り組んでいたことなどもあり、立候補の表明は告示の6日前でした。ただ今回は状況も違うため、小池知事に近い関係者は「先月下旬にも表明しようとしていたが、ほかの候補者の動向も踏まえて見送った」などと話していました。

Q.来週告示だが、選挙戦の構図はどうなる。
A.小池知事の立候補表明で、選挙戦の構図は固まったと言えます。現職に対して、蓮舫氏や石丸氏、小林氏、清水氏、田母神氏などが挑む構図です。都議会の各党としては、自民党、都民ファーストの会、公明党は小池知事を自主的に支援する方向で検討しています。これに対し、共産党、立憲民主党は蓮舫氏を支援する方針です。日本維新の会は候補者を擁立せず、対応は党員の判断に委ねる方針です。

Q.争点は。
A.小池知事の2期8年にわたる都政運営の評価が最大の争点になる見通しです。選挙戦では、東京都の去年の出生率が0.99と1を下回る中での今後の少子化対策や子育て支援のあり方、都が事業を認可し、反対の声も上がっている明治神宮外苑の再開発などをめぐって議論が行われる見通しです。さらに、政治とカネの問題や物価高騰対策などについても論戦が交わされるものとみられます。

Q.ことし4月の衆議院東京15区の補欠選挙では選挙妨害事件があったが、今回の選挙ではどうか。
A.立候補予定者の関係者からは、同じような行為が行われる恐れもあるとして「街頭演説を多くできないのではないか」と懸念する声も出ています。警視庁は、取締本部を設置し、2000人態勢で違反の取締りにあたる方針です。都知事選挙は1400万人が暮らす首都・東京の今後のかじ取りを誰に託すか選択する選挙です。候補者による十分な政策論争とともに、有権者が安心して判断できるような環境が欠かせないと思います。

◇各党の対応は◇

自民党、公明党、地域政党の都民ファーストの会は小池氏を自主的に支援する方向で検討しています。これに対し、立憲民主党、共産党、社民党は蓮舫氏を支援する方針です。日本維新の会は候補者を擁立せず、対応は党員の判断に委ねる方針です。国民民主党、れいわ新選組は対応を検討しています。教育無償化を実現する会と参政党は自主投票とする方針です。

蓮舫氏は離党届提出 議員辞職せず自動失職の意向

東京都知事選挙に立候補する意向を表明している立憲民主党の蓮舫参議院議員は、12日に離党届を提出しました。

このあと蓮舫氏は記者団に対し「この20年間、民主党から立憲民主党までお世話になり、いろいろな思いがある。都民のために無所属という形を選び、党派を超えて支えていただきたい」と述べました。そして、来週はじめにも公約を発表したいとした上で「20年間の国会議員としての経験をいかし全力で臨みたい。東京はもっとよくなると考えていて、子どもたちの育ちや学び、それに働く人のやりがいなどの分野で都政はもっとアップデートできる」と強調しました。

また、小池知事の立候補について「とにかく私は挑戦者だ。現職の余裕や強さを学ばせてもらいながら挑戦していく立場だという思いを新たにしている」と述べました。

さらに蓮舫氏は議員辞職せず、立候補に伴う自動失職を選ぶ意向を示しました。

維新 “独自の候補擁立は断念 基本的には『静観』”

日本維新の会の馬場代表は、党の役員会で「わが党として独自候補を擁立することのプラスとマイナスを計算し、プラスが大きくなる状況ではないと総合的に判断した。独自の候補者を擁立することは断念したい」と述べました。

このあと藤田幹事長は記者会見で、特定の候補者を支援する可能性について「何が起こるかわからないのが政治と選挙なので、100%ないとは言わないが、基本的には『静観』だ。ひと言で言うとわれわれの力不足であり、動かず、静観するというのが現状だ」と述べました。

◇これまでに「立候補の意向」表明した人は◇

東京都知事選挙には、これまでに広島県安芸高田市の元市長 石丸伸二氏(41)、元衆議院議員の小林興起氏(80)、タレントの清水国明氏(73)、航空自衛隊の元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)が立候補の意向を表明しています。

またNHKの取材で、11日までにこのほか40人以上が立候補の意向を示しています。五十音順に紹介します。

相川絹二郎氏(37)
安野貴博氏(33)
石丸幸人氏(51)
犬伏宏明氏(48)
内野愛里氏(31)
宇都宮小穂氏(31)
内海聡氏(49)
AIメイヤー氏(50)
遠藤信一氏(59)
尾関亜弓氏(43)
小野寺紘毅氏(79)
加藤英明氏(65)
河合悠祐氏(43)
木宮光喜氏(70)
木村嘉孝氏(49)
草尾敦氏(55)
久保田学氏(46)
黒川敦彦氏(45)
桑島康文氏(62)
後藤輝樹氏(41)
小西達也氏(68)
小林弘氏(49)
小松賢氏(36)
桜井誠氏(52)
佐々木信夫氏(85)
上楽宗之氏(45)
新藤伸夫氏(75)
武内隆氏(61)
竹本秀之氏(68)
津村大作氏(49)
ドクター・中松氏(95)
中江友哉氏(32)
中谷昌文氏(57)
二宮大造氏(53)
野間口翔氏(36)
福原志瑠美氏(41)
福本繁幸氏(57)
舟橋夢人氏(58)
古田真氏(77)
へずまりゅう氏(33)
穂刈仁氏(57)
前田太一氏(38)
松尾芳治氏(46)
南俊輔氏(39)
三輪陽一氏(42)
山口節生氏(74)
山田信一氏(53)
大和行男氏(46)

◇“立候補の意向”は約50人(11日現在 NHK調べ)◇

立候補者数は、平成26年の選挙までは20人を下回っていましたが、前々回・8年前は21人、前回・4年前は過去最多だった22人で、今回はそれを大きく上回る可能性があります。

候補者数が増えていることについて、地方政治や選挙に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は「動画配信やSNSの普及で、自分の意見を発信したいという人も増え、立候補する心理的なハードルが下がっているのではないか。首都のトップを決める非常に注目度が高い選挙で、問題提起をしたいと考える人が多いのだろう。一方で、知名度を上げて、場合によっては、動画などの閲覧数を増やし収入につなげようという側面もあるのではないか」と話していました。

◇ポスター掲示板 現状では「48人分まで」◇

東京都知事選のポスターの掲示板に貼ることができるのは現在、最大で48人分です。ただ、このままでは枠が足りなくなるおそれもあります。

掲示板を増設する場合、設置作業の実務にあたるのは区市町村になります。自治体の選挙管理委員会の担当者のひとりは「掲示板の設置場所が多いので、大規模な増設になれば対応できる時間はかなり限られている。業者とも相談しながら滞りがないように進めたい」と話していました。また、別の自治体の担当者は「最終的に何人分のポスターの掲示板にするのか東京都からの連絡を待っている。これまでも国政選挙などでは掲示板の枠を増やす対応をしたことがあるので間に合うよう対応したい」と話していました。