【詳細】イスラエル・パレスチナ 中東情勢(6月12日)

イスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦と人質解放に向けた新たな提案をめぐって、双方とも提案を受け入れていないのは相手側だと非難し合っていると伝えられ、交渉が難航していることがうかがえます。

※中東情勢に関する日本時間6月12日の動きを随時更新してお伝えします。

イスラエルとハマスの交渉難航 “相手が提案を拒否”

イスラエルとハマスの戦闘が長期化する中、アメリカは先月、6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる新たな提案を公表し、国連安全保障理事会も提案を支持する決議を採択して双方に受け入れを求めています。

交渉の仲介にあたるエジプトとカタールは11日、ハマス側から提案への回答があったことをSNSで明らかにしました。

詳細は明らかになっていませんが、イスラエルの当局者はロイター通信に対し「ハマスは人質解放の提案を拒否している」と話し、懐疑的な見方を示しています。

一方、イスラエルの有力メディアハーレツは12日、ハマスの関係者の話として、ハマスは提案を大筋で受け入れているとしたうえで「提案を拒否しているのはイスラエル側だ」と主張していると伝えています。

また、サウジアラビアなどアラブ系のメディアは、イスラエル軍のガザ地区からの撤退の時期や範囲、人質解放の手順などをめぐって駆け引きが行われていると報じています。

あくまでハマスの壊滅を目指すイスラエル側と、恒久的な停戦を求めるハマス側の溝は依然として大きく、交渉は難航していることがうかがえます。

ガザ地区では12日もイスラエル軍の空爆などが行われているとみられ、ガザ地区の保健当局はこれまでに3万7164人が死亡したと発表しています。

米大統領補佐官 “ハマス側から仲介国に回答”

イスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦と人質解放に向けた新たな提案をめぐり、アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は11日、記者団に対し、ハマス側から仲介国のカタールとエジプトに回答があったと明らかにした上で「私たちは今、精査しているところだ。回答があったのは有益だ。私たちは回答を待ち望んでいた」と述べました。

米国務長官 4億400万ドルの追加支援を表明

中東を訪問中のアメリカのブリンケン国務長官は11日、ヨルダンで人道支援に関連した会議に出席し、ガザ地区などに4億400万ドル、日本円でおよそ630億円の追加の支援を発表しました。支援は食料や飲料水のほか、医療やシェルターなどの提供に充てられるということです。

会議の中でブリンケン長官は「特にここ数か月、イスラエルはより多くの検問所を開放し、支援を提供するにあたっての障害に対処するため、重要な措置をとってきた。ただ、まだとれる措置があるし、とらなければならない」と述べ、人道支援を拡充するためイスラエルにさらなる対応を求めました。

新提案にハマス側は前向きも 双方の隔たり埋まらず

イスラエルとハマスの間の停戦と人質解放に向けてアメリカが先月公表した6週間の停戦と人質解放を含む3段階からなる新たな提案について、国連の安全保障理事会では、10日各国に支持を呼びかけイスラエルとハマスの双方に合意し実行するよう求める決議が、採択されました。

これについて、ハマス側は歓迎する声明を出したほか、幹部の1人が11日、カタールメディアに「ハマスは前向きな反応を示している」と述べました。

また、イスラエルを訪問したアメリカのブリンケン国務長官は11日、記者団に対し、ハマスが歓迎する声明を出したのは「希望の兆しだ」と述べました。

そのうえで、イスラエルは提案を受け入れているとして、「ハマスが提案を受け入れなければ戦闘が続く責任は彼らにある」と述べ、ハマスに提案を受け入れるよう強く迫りました。

ただ、イスラエルのネタニヤフ首相はあくまでハマスの壊滅を目指すと繰り返していて、完全な停戦を求めるハマスの主張との隔たりは依然として埋まっておらず、今後、実際に交渉が進展するのか予断を許さない状況です。