BRICS外相会議開催 ロシアはウクライナ関与の欧米側対抗強化へ

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、新興国で作るBRICSの外相などを西部の都市に招いて会議を開いています。ロシアは、欧米諸国がウクライナへの関与を強める中、BRICSの議長国としての立場を最大限生かし、欧米側への対抗姿勢を強めていくとみられます。

ロシアや中国、インドなどの新興国で作るBRICSの外相会議は、11日までの2日間、ロシア西部の都市ニジニ・ノブゴロドで開かれています。

議長国を務めるロシア政府によりますと、ことしから新たにイランやUAE=アラブ首長国連邦などが加盟し、10か国に拡大した形で意見が交わされています。

11日は、東南アジアのタイや中東のトルコなど、BRICSへの関心を寄せる国々の外相らも加わり、あわせて22か国からの参加も予定されているということです。

一方、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナを支援する欧米側は、先週、フランスにゼレンスキー大統領を招き、マクロン大統領やアメリカのバイデン大統領などが会談を行い支援を続ける姿勢を示しました。

さらに、今週にはG7=主要7か国の首脳会議やウクライナが提唱する和平案をめぐる国際会議なども開催し、ウクライナへの関与を強めています。

世界銀行によりますと、現在のBRICS加盟などの10か国の人口を合わせると、36億1000万で世界の総人口のおよそ45%に上るということです。

ロシアは、BRICSについて「新たな世界システムの中核になる」と主張し、拡大する加盟国との連携を強めるとともに議長国としての立場を最大限生かし、欧米側への対抗姿勢を強めていくとみられます。

ロシア “BRICS 新たな世界システムの中核になる可能性”

ロシアの外務省などが立ち上げ、政権側に助言なども行うBRICSの専門家会議でトップを務めるビクトリア・パノワ氏がNHKのインタビューに応じました。

この中でパノワ氏は、「BRICSの枠組みは強化され続けている。新たな世界システムの中核になる可能性がある」と述べ、BRICSは、加盟国の数が増え、さらに多くの国が加盟を検討しているとして国際秩序で主流になっていくと主張しました。

そのうえで今回の外相会議ではBRICSの拡大も主要なテーマになるとしています。

また「非合法的で一方的な制裁はロシアだけでなくBRICS諸国すべてにとって容認できないものだ。ロシアの貿易総額のおよそ40%がBRICS諸国とのものだ」と述べたうえで、加盟国の経済的な連携やアメリカの通貨ドルからの脱却を進めることでロシアに制裁を科す欧米側に対抗していく考えを示しました。

一方、パノワ氏は、今週、開かれるG7=主要7か国の首脳会議やウクライナが提唱する和平案の実現に向けたスイスでの国際会議について「『どうでもいい』というひと言につきる。私が知るかぎりBRICSの首脳たちは、当事者のロシア抜きで開催される会議に行くつもりはないようだ」と述べました。

そして「ロシアはかつてG8の一員だったが、各国が建設的な姿勢をやめ、誰にとっても関心が失われた。植民地時代が終わったことを一部の西側諸国は理解していない。G7の議題は非友好的でありわれわれとの大きな違いはそこだ」と述べ、欧米側の対応を批判しました。

BRICS 現在の世界の総人口のおよそ45%に

BRICSはもともとブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国でしたが、去年の首脳会議で拡大することが決まり、エジプトやイランなどが加わりました。

世界銀行によりますと、現在のBRICS加盟などの10か国の人口を合わせると、およそ36億1000万で世界の総人口のおよそ45%に上るということです。

また、JETRO=日本貿易振興機構によりますと、10か国のGDP=国内総生産の合計は世界のおよそ28%を占めているほか原油生産量の合計は世界全体のおよそ44%を占めているということです。