遠藤章さん死去 90歳 血中コレステロール下げるスタチンを発見

血液中のコレステロールを下げる物質「スタチン」を発見し、一時は「世界で最も売れた薬」ともいわれた動脈硬化の薬の開発につなげた東京農工大学 特別栄誉教授の遠藤章さんが今月5日に亡くなりました。90歳でした。

遠藤さんは1933年に秋田県に生まれ、東北大学農学部を卒業した後、製薬会社勤務を経て、東京農工大学農学部の教授などを務めました。

製薬会社に在籍していた1970年代初めごろから動脈硬化の原因となる血液中のコレステロールを下げる薬の開発に取り組み、1973年に青カビが作り出す「スタチン」という物質が体内でコレステロールが合成されるのを抑え、血液中の値を大きく下げることを発見しました。

発見から14年後の1987年にはアメリカで動脈硬化の薬として発売。さらに1989年には日本でも発売され、一時は「世界で最も売れた薬」と言われるまでになりました。

遠藤さんはスタチンの発見などに関する業績が評価され、2008年にアメリカの権威ある医学賞「ラスカー賞」を、2017年にはカナダの国際的な賞「ガードナー国際賞」を受賞するなど、国際的にも高く評価されたほか2011年には文化功労者に選ばれています。

関係者によりますと、遠藤さんは今月5日に都内の介護施設で90歳で亡くなったということです。

「遠藤章博士顕彰会」会長 “子どもたちへの教育にも熱心な方”

遠藤さんが亡くなったことについて、遠藤さんの出身地、秋田県由利本荘市に建てられた顕彰碑の管理などを行っている「遠藤章博士顕彰会」の佐々田亨三会長は「新型コロナの影響もあり、3年前に建てられた顕彰碑を直接見ることなく亡くなってしまったことは非常に残念です。『努力は報われる』という信念を持って挑戦を続けるとともに、みずから学校に出向いて授業を行うなど、子どもたちへの教育にも熱心に取り組まれた方でした」と話していました。