“iPhoneに生成AI” アップル発表 ChatGPTも利用可能に なぜ?

アメリカのIT大手アップルは、iPhoneなどの基本ソフトに生成AIのシステムを導入すると発表しました。オープンAIと提携して、ChatGPTを利用できるようにすることも明らかにしました。

これまでのiPhoneから、どう変わるのでしょうか?

提携のねらいとは?

「アップル インテリジェンス」導入を発表

アップルは10日、西部カリフォルニア州で開発者向けのイベントを開き、クックCEOらの基調講演を配信しました。

この中で、iPhoneやタブレット端末、パソコンの基本ソフトの最新モデルに生成AIのシステム「アップル インテリジェンス」を導入すると発表しました。

AIが家族などの写真から画像や絵文字生成

動画12秒

AIが複数のアプリと連携し、メールの内容を要約して重要な順番に表示するほか、返信の文案を作成したり、保存された家族や友人の写真から画像や絵文字を生成したりするとしています。

基調講演で披露されたデモでは、指示したとおりのイメージをAIが複数生成して提案していました。

「Siri」より自然な会話が可能に

もともと、AIを搭載した音声アシスタント機能「Siri」というAIを使った機能がありましたが、これを大幅に進化させたといいます。

より自然な会話を可能にし、さまざまな計画なども作成できるようにするとしています。

こちらも、デモが披露されました。

動画55秒

【質問者】
「ミュアービーチの明日の天気はどうですか。待って。ミュアーウッズです」

場所を言い間違えて訂正しました。

【Siri】
「ミュアーウッズのあすの天気は晴れです」

正しく回答していました。

続けて、“ハイキングの予定を入れて”と指示すると、それが同じ場所で行うことだとも認識していました。

オープンAIと提携も発表 巻き返しなるか

さらに、生成AIの開発をリードするオープンAIと提携して、ChatGPTを利用できるようにすることも明らかにしました。

チャットGPTのアカウントを持っていなくてもサービスを利用できるようになるとしています。

開発競争が激しいこの分野で出遅れているとの指摘もあるアップルとしては、生成AIのシステムの導入などで巻き返しを図る狙いがあると見られます。

クックCEO「アップルにとって次の大きな一歩」

アップル ティム・クックCEO
「アップルの人工知能は、あなたが一番大切に思うことを手助けできるように、パワフルで直感的で使いやすくあるべきです。何よりもあなたを理解し、あなたの習慣や人間関係、コミュニケーションなどの個人的な文脈に根ざしたものでなければなりません。それは『パーソナルな人工知能』とも言え、アップルにとって次の大きな一歩です

イーロン・マスク氏「オープンAI統合ならアップル端末は禁止」

アメリカの起業家 イーロン・マスク氏
「もしアップルが基本ソフトのレベルでオープンAIを統合するなら、私の会社ではアップルの端末は使用禁止になるだろう。それは容認できないセキュリティー違反だ」(10日、旧ツイッターのXに投稿)

生成AI活用のスマホ サムスン電子がすでに

一方で、生成AIを活用したスマートフォンをめぐっては、サムスン電子がことし1月に「ギャラクシーS24」のシリーズを発表しています。

新しいスマートフォンは、端末にAI半導体を搭載していて、AIを活用して通話の内容やショートメッセージの内容を同時に翻訳し音声などで伝える機能を持ち、日本語を含む13の言語に対応するということです。

携帯電話での通話内容の自動翻訳は韓国の通信大手・SKテレコムがアプリを通じてサービスを提供していますが、このスマートフォンはアプリがなくても自動翻訳できます。

サムスン電子の役員は「スマートフォンの時代をこえて新たなモバイル、AIフォンの時代を開くものだ」と強調していました。

生成AIの開発をめぐる競争 激化

アメリカではIT企業のあいだで生成AIの開発をめぐる競争が激しくなっています。

【オープンAI】
生成AIの利用が急速に広がるきっかけをつくったオープンAIは、2022年11月にChatGPTを公開してから生成AIの開発をリードしています。

先月には最新モデル「GPT-4o」を発表し、処理スピードを速めて、質問すると人と同じように自然に会話ができるとしています。

【マイクロソフト】
このオープンAIに投資して生成AIのサービスを開発しているのが、IT大手のマイクロソフトです。

ChatGPTの技術を活用して「Office」などのソフトや、アプリで生成AIのサービス「Copilot」を展開しています。

先月には、オンライン会議ソフトの「チームズ」で、生成AIが会議の進行役として議題の管理やメモの作成を行うなど、業務の効率化を支援するサービスの拡充を発表しました。

【グーグル】
IT大手のグーグルは先月、自社が開発する生成AI、「Gemini」の性能を高めた最新モデルや、検索サービスへの生成AIの本格的な導入を発表しました。

検索サービスへの導入では、文章で質問を入力すると生成AIが知りたいことを調べて、回答をまとめる機能を盛り込んだとしています。

【メタ】
IT大手、旧フェイスブックのメタは、ことし4月、最新の生成AIの技術「Llama3」をオープンソースで無償で公開すると発表しました。

この技術で動く生成AIを一般の利用者がウェブサイト上で無料で使えるようにし、メタが運営するフェイスブックやインスタグラムなどのSNSで使えるように連携するとしています。

アップル MRゴーグル型端末 6月28日から日本で発売

アップルは、現実の風景と仮想現実などを重ね合わせて映し出すMR=複合現実のゴーグル型端末、「ビジョンプロ」を6月28日から日本で発売すると発表しました。

ビジョンプロはアメリカでことし2月に発売され注目された製品で、日本での販売価格は59万9800円からということです。