鹿児島県警元部長 “発覚おそれ別人の名前使った”

鹿児島県警察本部の元生活安全部長が、内部文書をライターに郵送し漏らしたとして逮捕された事件で、元部長が10日にコメントを出し、送った書面で、警察官の盗撮事件が元刑事部長の指示で隠蔽されたという趣旨の内容が書かれていたことについて「恨みや陥れる意図はない。隠蔽を指示したのは県警本部長だが、知っているのはごく少数だった」などとして、発覚をおそれて、ほかの人の名前を使ったと説明しました。

鹿児島県警察本部生活安全部の元部長、本田尚志容疑者(60)は、退職後のことし3月下旬、個人情報などを含む内部文書をライターに郵送し、秘密を漏らしたとして、国家公務員法違反の疑いで逮捕されました。

元部長は、6月5日に裁判所で行われた手続きで、警察官による盗撮事件について、「県警本部長が隠蔽しようとしたことが許せなかった」などと主張しましたが、関係者によりますと、内部文書に同封した書面には、隠蔽は元刑事部長の指示だという趣旨の内容が書かれていたほか、問い合わせ先として、元刑事部長の名前や連絡先が記載されていました。

これについて、元生活安全部長は10日に弁護士を通じてコメントを出し、「元刑事部長に個人的な恨みなどは何もなく陥れようという意図もなかった。本部長の隠蔽について知っているのは私を含めてごく少数だったため、書面を送ったのが自分だと分かってしまうかもしれないと思った」などとして、発覚をおそれて、ほかの人の名前を使ったと説明しました。

一方、県警本部長は隠蔽を否定していて、元刑事部長も「事件の捜査指揮に携わったことはない」としています。

また、元生活安全部長は、県警の刑事企画課が内部向けに発行した、捜査書類の廃棄を促すかのような文書も同封したことを明らかにしたうえで、その後、県警が誤りだと判断して訂正したことを知ってもらいたかったなどと説明しました。

この文書について、県警は「去年10月付けで出した執務資料の中に、捜査書類の適正な管理について誤解を与えかねない表現が認められたことから、去年11月に内容を改めたものを出した」とコメントしています。

警察庁「表現が誤解生む」と内容の再検討促した文書も

鹿児島県警の元生活安全部長が、札幌市のライターに向けて送付した文書の中には、県警が去年10月に内部向けに発行した「刑事企画課だより」が含まれていました。

警察庁によりますと、写真とともに「再審や国家賠償請求訴訟などで捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」などと記載されていることがメディアに報じられた際、警察庁は、鹿児島県警に対し「表現が誤解を生む」として、内容を再検討するよう促したということです。

これを受けて、鹿児島県警は内部で検討を行い、翌月の11月に、内容を修正した「刑事企画課だより」を発行したということです。

警察庁は、NHKの取材に対し、捜査書類の適正な管理を日頃から指導しているが、問題の「刑事企画課だより」は、鹿児島県警が独自の判断で発行したものであり、警察庁が再審や国家賠償請求訴訟を念頭に、書類や写しの廃棄を指示するなどした事実も一切無いとしています。