政治資金規正法改正「政策活動費」などで議論 参院決算委

政治資金規正法の改正をめぐり、岸田総理大臣は、自民党の法案に盛り込まれている「政策活動費」の支出をチェックする第三者機関の設置時期について、現段階で明らかにするのは難しいとしたうえで、早期に設置できるよう議論していく考えを示しました。

国会では10日、参議院決算委員会で岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われました。

自民 赤松健氏 漫画やアニメなどの海外発信強化めぐり

▽自民党の赤松健氏は、漫画やアニメなどの海外発信の強化をめぐり「コンテンツ制作を経済の柱に位置づけ、国家戦略として省庁横断で取り組むべきだ。漫画やアニメ、ゲームを起点に世界のトップを取っていくべきだ」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「わが国のコンテンツ産業は海外売り上げで鉄鋼業や半導体産業にも比肩する一大産業だ。新たな『クールジャパン戦略』で、関連産業全体で50兆円の海外展開を目指すとしており、まさに国家戦略として政府一丸で推進する」と述べました。

立民 徳永エリ氏 政治資金規正法改正 自民の法案めぐり

▽立憲民主党の徳永エリ氏は、政治資金規正法の改正に向けた自民党の法案をめぐり「国民は『裏金事件』の再発防止を求めており、そのためにいちばん大事なのは企業・団体献金の禁止だ。企業や団体が見返りを求め、行政がゆがめられるという疑念は拭えない。なぜ、そこに手をつけないのか」と迫りました。

これに対し岸田総理大臣は「政治活動の自由の観点から、企業の寄付の自由を制限することはないとした最高裁判決の指摘もあり、企業・団体献金などは、禁止するのではなく透明性を高めることで政治の信頼の回復につなげるという考え方をとるべきだ」と述べました。

公明 下野六太氏 自民の法案 第三者機関設置について

▽公明党の下野六太氏は自民党の法案で、「政策活動費」の支出をチェックする第三者機関を設置するとしていることについて「早期に設置すると言うが、法律の主たる部分の施行期日が令和8年1月1日なのであればこの期日までに設置するということでいいか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「現時点で予断を持って設置時期を申し上げるのは難しいが、第三者機関は自民党の原案を含め、各党の案のいずれにも規定が設けられており、自民党としても、なるべく早期に設置できるよう議論に貢献する」と述べました。

また具体的な制度設計について「政治活動の自由を担保しつつ、立ち入り検査や政策提言など、どのような権限を持たせることが適当なのかや、独立性をどのように確保するのか、秘密保持をいかに担保するかといった点が論点だ」と述べました。

維新 清水貴之氏 「政策活動費」の領収書公開めぐり

▽日本維新の会の清水貴之氏は、自民党の法案に盛り込まれている「政策活動費」の領収書の公開をめぐり「基本的にすべて公開とするため10年後という期間を持たせている。電話番号や銀行口座を消す可能性があるのは理解するが、それ以外はできるだけ公開し、黒塗りはなくすということでいいか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「10年後であれば政治活動をめぐる状況も変化し、支障のおそれは相当程度低くなると考えられるが、10年たっても伏せなければならないことが仮にあるとしたら、どのようなものなのかを各党・各会派で詰めることが必要だ」と述べました。

国民民主の会派 芳賀道也氏 自民の法案について

▽国民民主党の会派に所属する芳賀道也氏は、自民党の法案について「国家機密でもないのに『政策活動費』の領収書の公開を10年後とするなど、抜け道だらけの法律を作ることは、かえって『裏金』に対する国民の怒りの火に油を注ぐ」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「政治活動の自由の維持と私的流用が行われているのではないかとの疑念に応える2つのバランスを取る観点から10年後の公開という考え方が出てきた。他党からのさまざまな貴重な提言も踏まえ提示したものだ」と述べました。

共産 山添政策委員長「金権腐敗が起き得る」

▽共産党の山添政策委員長は「自民党の収入は、大半が政党交付金と企業・団体が出資者となる献金、それにパーティーの資金だ。この構造を続けていけば、必ずまた『裏金事件』のような金権腐敗が起き得る。根を絶たなくてはいけない」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「多様な考え方の出し手によるさまざまな収入を確保することが、政策立案の中立性やバランスの確保にとって重要だ。大切なことは透明性が確保され、多様性があるかどうかを国民が判断できるようになっていることだ」と述べました。

岸田首相 国会議員による政党支部寄付後の税控除について

一方、自民党や立憲民主党で国会議員がみずからの政党支部に寄付し、税の控除を受けたケースが確認されたことについて、岸田総理大臣は「現行法上は違法なものではないとされているが、望ましいものではなく、信頼回復のためにも、税制優遇措置の適用除外を規定した改正案に基づき必要な措置を講じていきたい」と述べました。

岸田首相 憲法改正「国民に選択肢を提示することは政治の責任」

また憲法改正をめぐり、岸田総理大臣は、党総裁の任期中に実現したいとしていることについて「時間的な制約があることは事実だが、1歩でも議論を前に進めるべく党として最大限の努力をしていく方針は全く変わりがない。国民に選択肢を提示することは政治の責任であり、粘り強く取り組み続けたい」と述べました。