ラグビー日本代表 合宿「超速ラグビー」へ強度の高い練習公開

6月22日にイングランドとのテストマッチに臨む、ラグビー日本代表の宮崎市での合宿が報道陣に公開され、選手たちは日本のスピードを生かした「超速ラグビー」を体現するため、強度の高い練習に取り組みました。

ラグビー日本代表は、9年ぶりにヘッドコーチに復帰したエディー・ジョーンズ氏が指揮を執り、3年後のワールドカップに向けた強化の初戦となるイングランド戦を前に、6月6日から宮崎市で合宿を行っています。

10日は、午前11時すぎからおよそ3時間、グラウンドでの練習が報道陣にすべて公開されました。

練習に参加した選手は34人で、フォワードのリーチ マイケル選手など、去年のワールドカップの主力選手を中心に、3年後のワールドカップを見据えて若手選手や大学生などが加わりました。

ジョーンズヘッドコーチは、ことし1月の就任以降、日本のスピードを生かした「超速ラグビー」をプレースタイルに掲げていて、練習では、選手たちが試合さながらの激しいコンタクトを繰り広げ、何度も攻守を交代しながら、強度の高い練習に取り組んでいました。

日本が南アフリカから歴史的な勝利を挙げた2015年のワールドカップ前の宮崎合宿では、厳しい練習で「鬼コーチ」と呼ばれたジョーンズヘッドコーチですが、10日の練習では、日本語で何度も「すばらしい」と選手たちをたたえ、イングランド戦に向けて手応えを感じている様子でした。

ジョーンズヘッドコーチは「超速ラグビーでは、攻守において集団でのスピードをいかに速めるかが大事になる。今は選手間でメンバー争いをしていて、リーチ選手は、きょうはロックでプレーしたが、あすはフランカーでプレーするかもしれない」と話し、白紙の状態からメンバー選考を進めていることを強調していました。

最新の世界ランキングで12位の日本は、
▽6月22日に、東京 国立競技場で世界5位のイングランド代表とのテストマッチに臨み
▽7月13日には、世界13位のジョージア代表
▽7月21日には、世界8位のイタリア代表と対戦します。

「超速ラグビー」とは

ジョーンズヘッドコーチが掲げる「超速ラグビー」とは、どんなプレースタイルなのか。

練習後の選手たちのことばから、少しずつ全容が見えてきました。

フッカーの坂手淳史選手は「超速ラグビーはアタックがすごくおもしろい。動きだけじゃなくて、判断も早くする練習をしているが、みんなで前に前にアタックするところを試合で見せられればいい。ラインアウトでも、ジャンプや投げ入れるボールのスピードも速くなっている」と明かしました。

同じくフッカーの原田衛選手は「相手が構える前に、どんどん上がっていこうという考えで、サインを出すところから速くやらないといけない。ラインアウトも、すぐに始めなければいけないし、リーグワンの時よりも、プレー中に考える時間がない」と話し、選手個人個人の判断のスピードを上げることで、ボールやプレーのスピードを上げるねらいがあると説明しました。

ジョーンズヘッドコーチは、2015年のワールドカップの際には、“Japan Way”という独自の戦い方を掲げ、低く鋭いタックルと、常にボールを動かして運動量で相手を上回るラグビーで結果を残しました。

「超速ラグビー」は、さらにそれを進化させて「超」がつくほど、世界が驚くプレースピードで、ワールドカップのベスト4入りを目指します。

その試金石となるイングランド戦に向けて、日本代表の選手たちは、いま、急ピッチで戦術を組み立てています。

イングランド戦でテストマッチ初出場を目指す原田選手は「合宿は朝6時から練習が始まるので、死に物狂いで練習をしている。ヘトヘトになって、夜9時前にはベッドに入っています」と充実感をにじませました。

最新施設での合宿

今回の宮崎合宿では、2023年にオープンしたばかりの屋内練習場などを備えた最新の施設が使われています。

ことし1月に就任したジョーンズヘッドコーチにとっては、初めて使う施設で、練習後の取材では「きのう大雨が降ったときは、2015年の宮崎合宿を思い出していた。あのときは屋根付きの駐車場でウエイトトレーニングをしていて、雨が降るとホテルに100枚くらいタオルを借りて、水浸しになった床を拭くところから始めた。今はファーストクラス並みのすばらしい施設が整備され、選手たちはここで練習ができることを幸運に思わなければいけない」と感慨深そうに話していました。

また、リーチ マイケル選手は「宮崎では10年以上合宿をしてきて、ここで練習すれば強くなることはわかっている」と話しました。

そのうえで「今回の合宿は2015年のときと違って本当に楽しい。あのときは地獄だった。今の日本代表は、選手の質がすごく高いので、根性を鍛えるようなきつい練習をたくさんやる必要はない」と笑顔を見せ、報道陣の笑いを誘っていました。