欧州議会選挙 極右政党などが躍進か フランスは議会解散へ

EU=ヨーロッパ連合の重要な政策を左右するヨーロッパ議会選挙は、EUに懐疑的な右派や極右の政党が議席を増やす見通しです。極右政党が大勝する見通しとなったフランスでは、マクロン大統領が議会下院を解散すると明らかにし近く、選挙が行われることになりました。

ヨーロッパ議会選挙は今月6日から9日にかけて加盟27か国で投票が行われました。

日本時間の10日午前8時すぎにヨーロッパ議会が発表した議席予測によりますとフランスではEUが統合を進めて強い権限をもつことに反対する極右政党の「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しです。

マクロン大統領は急きょテレビ演説を行い、「ナショナリストや扇動的な政治家の台頭はフランス、そしてヨーロッパにとって危険だ」と述べ、極右政党の躍進に危機感を示しました。

その上でフランスの将来について国民に信を問うことが必要だとしてフランスの議会下院にあたる国民議会を解散すると明らかにし近く選挙が行われることになりました。

EU加盟国全体でも、720議席のうちEUに懐疑的な右派や極右の政党が所属する2つの会派があわせて130前後と改選前に比べて議席を増やすほか、この会派に入っていないドイツの右派政党「ドイツのための選択肢」も14前後と議席を増やす見通しです。

これまでEUの政策を主に支えてきた中道右派や中道左派などの3大会派は過半数を維持する見通しですが、EUに懐疑的な勢力が議席を増やすことで、EUの政策運営にどのような影響を及ぼすかが焦点となります。

仏極右政党率いるルペン氏「仏を復活させる準備できている」

フランスの極右政党「国民連合」を率いているマリーヌ・ルペン氏は、支持者の前で演説し「この偉大な勝利は、世界中で国家主義や保護主義が復活しつつある歴史の方向と一致している。世界の人々に多くの苦しみをもたらしてきたグローバリズムを終わらせるものだ」と述べました。

そして、マクロン大統領が国民議会の解散に踏み切ったことについて「次の議会選挙で国民がわれわれを信頼するなら権力を行使する用意がある。われわれは国民の利益を守る準備があり、多くの移民の流入を終わらせる準備があり、フランスを復活させる準備ができている」と述べ、次の選挙での支持を訴えました。