手術支援ロボットの開発や事業の強化に日本メーカー各社が注力

医療現場で手術の支援を行うロボットの開発や事業の強化に日本メーカー各社が力を入れています。その背景には、市場を独占してきたアメリカの企業の「ダビンチ」の主要な特許が切れたことや、日本での深刻な医師の不足があります。

▼ソニーグループは、およそ2年前から参入に向けた準備をはじめ、先月、開発したロボットを公開しました。

このロボットは、血管の縫合など顕微鏡を使う外科手術を支援します。

操作を行う医師の指先の動きをロボットアームでさらに縮小し、微細な動きで再現できる技術が特徴で、医師の不足が深刻化するなか、高度な手術に多くの医師が対応できることを目指しています。

さらに
▽アームの先の器具を自動で交換できる機能や
▽色や質感、奥行きなどを再現する高精細のディスプレーで、医師の手術を支援します。

大学の医学部や医療機関と協力し、さらに実証を進めることにしています。

開発担当の見上慧さんは「これまで修練が必要だった高度医療の裾野を広げ、患者がより高度な医療を受けられるようになる」と話していました。

また
▼川崎重工業などが出資する「メディカロイド」は、2020年に腹腔鏡手術の支援ロボットを実用化し、これまでに5000件以上の手術で使われています。

川崎重工業は、2030年までにロボット事業全体の売り上げを去年の4倍に増やす目標で、手術支援ロボットの事業を柱の1つとしています。

手術支援ロボットは、これまで市場をほぼ独占してきたアメリカの企業が手がける「ダビンチ」の主要な特許が切れたことで、新規参入の企業による世界的な競争が激しさを増しています。

こうした中、産業用ロボットなどの分野で高い技術を得意としてきた日本メーカーにとっては、深刻な医師の不足という社会課題も抱えるなかで、その存在感を高める契機になっています。